DeNAと阪神が狙う大逆転V どん底から「奇跡の大攻勢」をかけた歴史的逆襲4選

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過去には14.5ゲーム差からのミラクルも

 7月にプロ野球史上最速の優勝マジックを点灯させ、セ・リーグ連覇がほぼ確実視されていたヤクルトが、8月に入って7連敗を記録するなど急失速している。この間隙を縫って、史上最大17.5ゲーム差からの逆転劇を狙うDeNA、史上初の最大借金「16」からの巻き返しVの実現に燃える阪神などが追走している。過去に二桁ゲーム差から大逆転Vをはたしたチームと、借金16以上から大反攻を成し遂げたチームの足跡を振り返ってみよう。【久保田龍雄/ライター】

 まず、これまで史上最大の14.5ゲーム差からの逆転Vを実現したのが、1963年の西鉄である。

 6月の時点で首位・南海に14.5ゲーム差をつけられていたが、8月に17勝7敗、9月に19勝10敗1分と猛チャージをかけ、10月に入っても18日まで9勝3敗と好調をキープ。南海が85勝61敗4分で全日程を終えた同日の時点で、西鉄は82勝60敗4分で1ゲーム差につけていた。

 残り4試合はすべて近鉄戦で、10月19、20日にいずれもダブルヘッダーで消化という強行日程。逆転Vの条件は「3勝1分以上」とかなりハードルが高かったが、3戦目の8回に4点差を一気に追いつき、延長戦でサヨナラ勝ちするなど、4戦全勝で見事5年ぶりの優勝を決めた。

“メークレジェンド”

 西鉄に次ぐ最大13ゲーム差から大逆転し、“メークレジェンド”といわれたのが、2008年の巨人である。

 球団史上ワーストの開幕5連敗でスタートした巨人は、20試合を消化した時点で借金「5」。6月18日のオリックス戦の勝利で、ようやくシーズン初貯金となったが、7月8日に首位・阪神に敗れ、ゲーム差は13に開いた。

 しかし、9月11日から怒涛の連勝が始まる。8月以降もたつく阪神を射程圏にとらえると、9月19日からの直接対決3連戦で3連勝。開幕131試合目で同率首位に並んだ。

 そして10月10日。巨人はヤクルトに勝利し、阪神が横浜に負けたことから、6年ぶりVが決まった。

 当時、筆者はある出版社から「阪神優勝記念号」ムックの仕事を依頼され、“V戦士”藤川球児と新井貴浩の原稿を書いたのだが、発売直後に巨人のV決定という皮肉な結果に……。このムックは、ある意味“貴重な1冊”なので、今でも自宅に所蔵している。

 巨人は長嶋茂雄監督時代の96年にも最大11.5ゲーム差を逆転し、“2年越しのメークドラマ”、“メークミラクル”と呼ばれた。日本ハムも2016年に同じ11.5ゲーム差をひっくり返し、リーグ優勝と日本一を達成している。

 もし、今季のDeNAが17.5ゲーム差からの大逆転Vを実現したら、どんな呼称が生まれるかも興味深いところだ。

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