最下位転落危機で巨人・原監督がすがった「第91代四番」中田翔 「聖域」崩壊の裏事情

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 プロ野球の巨人で「第91代四番」に抜擢された中田翔内野手(33)がもがいている。打撃不振が続く岡本和真内野手(26)に代わって、8月11日の中日戦から移籍後初となる四番に座ると、14日までの4試合は全て打点を挙げ、打率5割、2本塁打と存在感を発揮した。だが、以降、21日までの6試合は低迷し、ホームランはゼロで、打点も17日のDeNA戦で挙げた1点のみ。波に乗りきれない中田に調子を合わせるようにチームは21日、今季初の6連敗を喫し、6位中日とのゲーム差1.5で最下位転落の危機にまで陥っている。

「聖域」壊す

 そもそも「四番打者」が「第何代」などと取り上げられる球団は巨人のみで、背景には、かつて巨人の人気が圧倒的に高かったことから、「巨人の四番イコール球界の四番」と評価されていたことがあるようだ。

 球界としても絶大な重みが置かれてきた巨人の四番に、中田のような不祥事がきっかけで移籍してきた「外様選手」が起用されるのは異例で、11日に初めて四番で先発起用された際も、原辰徳監督(64)が巨人の「聖域」を壊したとして、巨人OBらからは否定的な意見も根強かった。

 それもそのはず。中田は勝負所での一発や華麗な一塁守備で、随所でチームに貢献しているとはいえ、今季は打撃不調で2度の二軍落ちを経験するなど、コンスタントに成績を残せていない。緊急事態で主砲・岡本の「代理四番」を任せるにしても、「中田には荷が重すぎる」と考えるのは当然だろう。

 だが、岡本の打撃不調が深刻で、他にも四番適任者がいない中、原監督は調子を上げていた中田に白羽の矢を立てた。あるスポーツ紙記者は「原監督は自身も『第48代四番』を務め、巨人の四番は『聖域で特別な存在』と過去に語ったこともあるくらい。中田を抜擢するのには相当迷っていたが、Bクラスに低迷するチームを押し上げるには、なりふりかまわずやるしかなかったようだ」と解説する。

 大手スポーツ紙記者らに「豆腐のメンタル」と揶揄されるよう、精神面が良くも悪くもパフォーマンスに大きな影響を与える豪快スラッガーの中田。巨人で四番デビューした8月11日は、皮肉なことに、日本ハム時代に自身の暴行問題で無期限出場停止処分を受けてちょうど1年のタイミングだったが、「第91代四番」を意気に感じたのか、しっかり適時打を放ちチームの勝利に貢献した。だが、やはり今季2度の二軍落ちを経験しているだけあってか好不調の波は激しく、ここ6試合はその打撃がなりを潜め、18日から21日は打点ゼロとチームに貢献できていない。

放出危機免れ

 巨人の中田獲得は、「俺が必ず更正させ活躍させる」と豪語した原監督の一存で決まったとされるが、昨季と今季前半戦の不調から、球団首脳からは「原監督のおごりでは」との声も上がり、ある巨人関係者は「前半戦終了時点では、来季の放出に向けた動きが加速化していた」と明かすほどだった。

 だが、現在は調子が今ひとつとはいえ、8月21日現在で80試合に出場して打率.293、15本塁打、41打点という成績はまずまずの数字といえる。このまま一軍でレギュラーとして出場を続け、3割近い打率を残して今季を終えれば、来季も巨人のユニフォームを着られるのはほぼ間違いないだろう。

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