統一教会の広報担当者を元公安警察官が「パーティー・クラッシャー」と呼ぶワケ

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、各国の大使館パーティーに招待されてもいないのにやって来る統一教会の広報担当者について聞いた。

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 統一教会は、多くの日本の政治家と関係を持ち、公安部はそのリストを作っていた。もっとも、彼らが近づいたのは政治家だけではなかった。

「統一教会の広報担当者は、各国の大使館のパーティーに参加しています。大使と親密な関係を築くためです」

 と語るのは、勝丸氏。

カルトにはビザを発行しない

 統一教会は、布教のため世界各国で教祖の誕生日などを祝うイベントを行っている。

「私は以前、アフリカの日本大使館に警護担当の外交官として赴任したことがあります。そこでも統一教会のイベントが行われ、日本から日本人女性2人が参加していました」

 もっとも、統一教会はカルト扱いする国もあり、会員にビザを発給しないところもあるという。

「ビザ発給の審査中に、領事が申請する人に面会や電話で質問することがあります。確実に会員と見抜けるわけではありませんが、イベントや儀式参加など渡航目的を聞くと、会員と分かります。そういう場合に備え、統一教会は各国の大使と親しくしたがるんです」

 勝丸氏は、アフリカから帰国後、警視庁で各国の大使館との連絡・調整を担当するようになった。

「私は各国の大使館のパーティーには必ず参加していました。その際、頻繁に姿を見せていたのが、統一教会の広報担当者でした」

 通常、2、3人、多い時は4人の広報担当者が参加していた。

「問題なのは、彼らの場合招待状がないのに参加することが多かったことです。国によっては招待状なしでも入れるパーティーもありますが、多くは、受付で招待状をチェックします。招待状のない統一教会の担当者は、出入り口で人の良さそうな大使を見つけると、『大使、こちらですよ』と知り合いのようなふりをして声をかけ、そのまま一緒に入場するのです」

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