フランスで統一教会は「反セクト法」で“過去の遺物”に 一方、創価学会は今も熱心に活動中

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 出版社のダイヤモンド社が手がけるネットメディア「DIAMOND online」は8月1日、「ひろゆきが語る『カルト団体にダマされないための、たった1つの教え』」という記事を配信した。

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 2ちゃんねる創始者の「ひろゆき」こと西村博之氏(45)が記事に登場。「カルトを信じている人とは距離を置くこと」や「投票に行って宗教団体の集票力を低下させること」などを訴えた。

 だが、これは本題ではない。ここで注目したいポイントは、ごくわずかとはいえ、フランスにおける「反セクト法」について言及している点だ。担当記者が言う。

「セクトはカルトと同義です。フランスでは2001年、『反セクト法』が制定されました。ある団体をセクトと見なすかどうかは、3つの要件が設けられています」

 この3つの要件とは、

【1】法的形態や目的を問わず

【2】その活動に参加する人の心理的または肉体的服従を創造したり利用したりすることを目的または効果とするあらゆる法人

【3】法人そのものまたはその法的あるいは実質的指導者が以下の1つまたは複数の犯罪について、複数の確定有罪判決を受けた

 ──となっている。この3要件を満たすと、罰則が科せられる場合がある。

 該当するセクトの反社会性や悪質性を勘案し、資金募集の禁止や事務所の閉鎖を命じることが可能だ。最も重い処分は団体の解散となっている。

 なぜフランスで反セクト法が成立したのか、背景として旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以下「統一教会」)の活動が大きな影響を与えたという。

「統一教会は1960年代末からヨーロッパで布教を開始しました。70年代から厳しい集金システムや、子供が信者となって親と意思疎通が不可能になることなどが報じられ、日本と同じような社会問題に発展しました」(同・記者)

フランスメディアの報道

 朝日新聞は1994年3月、「統一教会、欧州で勢力広げる 布教めぐりトラブルも」の記事を朝刊に掲載した。ポイントを紹介しよう。

◆統一教会はアメリカを経由し、70年代にヨーロッパで布教を開始。範囲は西欧から東欧、旧ソ連に及んでいる。

◆教祖・文鮮明氏(1920~2012)の妻で現在は統一教会の総裁を務める韓鶴子氏(79)も、93年秋、パリ、ウィーン、フランクフルトなどの集会に出席した。

◆統一教会はヨーロッパの右翼政党と親密な関係を結んでいる。

◆日本と同様、壷を高く売りつける信者の行動も表面化し、「息子や娘が過激な布教に巻き込まれている」と信者の親などから批判が出ている。

 7月8日、安倍晋三元首相(享年67)が奈良市内で射殺されるという衝撃的な事件が起きた。当然ながら全世界のメディアが報じた。

 その中でもフランスのマスコミは、事件の発生当初から「統一教会」の名称を堂々と報道。日本では大手メディアが「ある団体」と伏せ続けたのとは対照的だった。

 その後、大手メディアも「旧統一教会」と呼称するようになり、今では自民党を中心とした「国会議員と統一教会の関係」に焦点が集まっている。

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