「村上宗隆は巨人でも楽天でもなくヤクルトに入団してよかった」他球団スカウトがそう思う理由

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落合博満を超える最年少「三冠王」も

 セ・リーグ連覇に向けて首位を快走しているヤクルト。その最大の原動力となっているのは主砲の村上宗隆であることは間違いないだろう。ここまでリーグでダントツのトップとなるホームランと打点数をマークし、7月31日と8月2日の2試合にかけて5打席連続ホームランのプロ野球新記録を樹立した。打率も上位につけており、令和初となる三冠王獲得が視野に入っている。三冠王の最年少記録は1982年に落合博満(当時ロッテ)が記録した28歳であり、今年22歳の村上が達成することになれば、それを大幅に更新する。【西尾典文/野球ライター】

 村上が活躍すればするほど話題となるのが、なぜドラフトの時点で“外れ1位”という評価だったかということだ。最も大きな要因としては、やはり同学年に前人未到の高校通算111本塁打を清宮幸太郎(日本ハム)がいたことだろう。2017年のドラフト会議では、清宮の抽選を外した3球団(ヤクルト、巨人、楽天)が2度目の入札で競合となり、ヤクルトが当たりくじを引き当てている。

 スポーツに“たら、れば”は禁物と言われるが、もしこの抽選で違う球団が当たりくじを引き当てていれば、もしくは1度目の入札から村上を指名する球団がいたら、セ・リーグの現在の勢力図は大きく異なっているものになった可能性は高い。

甲子園に出たのは1年夏だけ

「どの球団も評価は高かったと思いますよ」と話すのは、村上獲得を狙っていた他球団の九州担当スカウトだ。それでも最初の入札で1位指名がなかった理由について、以下のように解説する。

「1年生の時から4番として夏の甲子園にも出場していますから、当然、早くからその存在は知られていました。甲子園では打てませんでしたけど(※初戦となる2回戦で遊学館と対戦してチームは3対5で敗れ、村上は4打数ノーヒット)、そこからの成長が凄かった。2年生になってからは完全にチームの中心になって、3試合連続でホームランを打ったこともありました。それでも、外れ1位になったのは、やっぱり誰もが見ているところでの活躍じゃないでしょうか。甲子園に出たのは1年夏だけ。当時の熊本県は秀岳館が全盛期で、最後の夏も結局、秀岳館に勝つことができませんでした。村上自身もまた、秀岳館の左ピッチャーを打てませんでしたからね。高いレベルのピッチャーを相手にするとまだ脆さがありました。担当スカウトが推しても、大きな大会で実績がないと、ドラフト1位で指名することが難しいのは、どの球団にもあります。3年生の春か夏に甲子園に出ていてホームランでも打っていれば、『清宮で競合するよりこっちの方がいいんじゃないか?』という声も出てきたかもしれません」

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