プロ注目の京都国際・森下瑠大が初戦で消える…スカウト陣は「これで下位でも指名できると喜ぶ球団もある」

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野手という選択肢も

 前出のスカウトは「森下のプロ入りを後押しする要因は他にもある」として、こう続けた。

「所属しているのが、大学や社会人にルートの多い古くからの強豪校であれば、どこかに内定を決めておいて、(ドラフト)何位以下ならそちらへ進むということも考えられます。しかし、京都国際はここ数年強くなってきたチームでそういうことは考えづらいです。本人もプロ志向が強いようなので、下位指名でもすんなり入団するんじゃないですかね。あと大きいのは、バッティングも力があることです。この夏は4番で地方大会でも凄いホームランを打っていました。投げられないならバットで、何とかしようという気持ちが見えるのもいいですよね。ピッチャーとして、もしダメでも、野手という選択肢があるというのもプロ側から考えると指名しやすいと思います」

 本人は「バッティングには自信がない」とコメントしているが、京都大会では5試合で12安打、3本塁打を放ち、打率.632という圧倒的な数字を残している。ピッチャーが本職でありながら、これだけの打撃ができるというのは、将来を考えても確かに大きな魅力と言えるだろう。

 試合後に森下は「自分が打たれてしまってチームの流れが悪くなった。ピッチングは全然ダメでした」と敗戦の弁を語ったが、その目に涙はなく、表情も晴れ晴れとしたものに見えた。

 春から不測の事態で選抜出場が辞退となり、また肘の故障に苦しみながらも、甲子園のマウンドに立てたことでやり切ったという部分も大きかったのではないだろうか。持っているポテンシャルを考えれば、不完全燃焼な感は否めないとはいえ、その悔しさを晴らすための舞台はこれからいくらでも残されている。この経験をバネに、プロ野球の世界で大きく成長した姿を見せてほしい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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