帰国しそうもない「ガーシー議員」 刑事・民事での責任追及は無理 ならばどうすべきか?

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歳費の無駄遣い

 国会法は第5条で《議員は、召集詔書に指定された期日に、各議院に集会しなければならない》と定めている。理由の認められない欠席は、第5条に抵触する可能性が高い。

 ガーシー議員の欠席問題に対し、「これをきっかけに国会のリモート化を検討してもいいのでは」と理解を示す有権者もいないわけではない。だが若狭氏は「順序が違います」と言う。

「現行法では出席を求めていますから、それに従う必要があります。国会のリモート化を議論すること自体は、別におかしなことでもなんでもありません。むしろ世相を考えれば理解できると言えます。しかし、ガーシー議員が国会のリモート化を求めるなら、今は国会に出席し、参議院の中で議論をする必要があります」

 Twitterでは、《歳費は払うな》、《無駄な歳費》、《ガーシーに国民の税金から歳費は許されない》──などなど、ガーシー議員に歳費=給与を払うのはおかしいという指摘が多い。

 国会議員になったにもかかわらず、いきなり欠席。これでやる気を感じろというほうが無理だろう。「歳費を搾取しているようなもの」と多くの有権者が疑問視するのも当然だと言える。

 詐欺罪による刑事告発や、民事訴訟での歳費の支給停止、歳費の国庫返納を求めることはできないのだろうか。

国会法第124条

「刑事も民事も、事件化は厳しいと言わざるを得ません。有権者の多くは、『いきなり欠席したガーシー議員に国会議員の資格はあるのか?』と疑問視していますが、ガーシー議員が国会議員として活動したいと意欲を見せているのは事実です。本人が働きたいと考えている以上、刑事事件で『歳費をだまし取ろうとした』と詐欺罪が成立すると考えるのは、さすがに無理があるでしょう」(同・若狭氏)

 会社を理由なく休んでばかりの社員なら、会社側は合法的に解雇することができる。役員レベルが「会社の経営に大きな損失を与えた」疑いが生じれば、株主代表訴訟などで損害賠償を求めることも可能だ。

「上場企業の経営者ともなれば、地位に相応しい仕事をしているか、株主やマスコミなどから徹底的にチェックされます。しかし、同じことを国会議員に求めると弊害も生じます。有権者がガーシー議員に投票し、当選したという事実は大きいのです。国会議員の地位を守ることは、民主主義の根幹でしょう。たとえ民事であっても、議員歳費の差し止めを求めたり、解職を要求したりするような訴訟が実現してしまうと、究極的には独裁者に乱用される恐れが生じます」(同・若狭氏)

 もちろん若狭氏は「このままガーシー議員が欠席を続けても、国会議員の地位は無条件に守られるべきだ」とは考えていないという。若狭氏は国会法の第124条に注目する。

《議員が正当な理由がなくて召集日から七日以内に召集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議又は委員会に欠席したため、若しくは請暇の期限を過ぎたため、議長が、特に招状を発し、その招状を受け取つた日から七日以内に、なお、故なく出席しない者は、議長が、これを懲罰委員会に付する》

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