五輪汚職疑惑、高橋治之氏の“上級国民”人生 平社員時代から運転手付きのジャガーで出勤

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「レガシーを残した」

 彼の父である義治氏は、物資不足の戦後まもない時代に輸入商として財をなし、テレビ朝日の設立にも関わった実業家だった。弟の治則氏はバブル期にリゾート開発会社「イ・アイ・イ・インターナショナル」で手広く事業を起こすものの、経営破綻し、背任罪に問われ逮捕。この事件は日本長期信用銀行が破綻する大きな要因にもなって世間を騒がせた。

 かような一族の下に生まれ、豊富な資金力と華麗なる人脈を背景にした高橋氏は、慶應大学を卒業後、電通に入社してスポーツ文化事業局で頭角を現す。FIFA会長とのホットラインを生かし、2002年の日韓ワールドカップの開催実現に尽力したことで知られる。

 もとより彼の名前が五輪にまつわる疑惑で上がるのは初めてではない。

 全国紙の社会部デスクが解説するには、

「2019年、東京五輪の招致に絡む買収疑惑で仏当局が捜査を始めた際、当時JOC(日本オリンピック委員会)の会長だった竹田恒和氏は混乱を避けるため委員を辞任。その折、竹田氏の背後にいたとして取り沙汰された人物が高橋氏でした。慶應の後輩である竹田氏と、森喜朗元総理の三人で、東京五輪の招致に尽力してきたとされるコアメンバーの一人だったのです」

度々、自宅が差し押さえに

 ちなみに家宅捜索に入られた高橋氏の自宅は、世田谷区用賀の父から継いだ約230坪もの豪邸だが、登記簿謄本をみると、度々、都から差し押さえを受けている。海を越えて札束が乱れ飛ぶとされるロビー活動に熱心なあまり、肝心の住民税を払い忘れてしまったのだろうか。

 強制捜査に先立つ23日、国立競技場では五輪開幕1周年のセレモニーが行われ、東京都の小池百合子知事があいさつで「多くのレガシーを残した。大会を経て、東京は新たなスタートラインに立った」と述べた。

 奇しくも知事の言う“遺産”はカネにまつわる疑惑となって、世界中に醜聞をさらす格好となりつつある。

週刊新潮 2022年8月4日号掲載

ワイド特集「酷暑をしのぐ『氷の微笑』」より

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