“ノンテンダー”秋吉亮は、事実上“解雇”された日本ハムを見返すことができるか

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ソフトバンクが“白羽の矢”

 7月29日からリーグ戦が再開され、後半戦に突入した今年のプロ野球。7月末のトレード期間終了を前にいくつか動きがあったが、中でも注目を集めているのが、ソフトバンクでNPB復帰を果たした秋吉亮である。【西尾典文/野球ライター】

 ヤクルトでは2015年から2年連続リーグ最多登板を記録。トレードで日本ハムに移籍した19年には25セーブをマークするなどリリーフとして活躍したが、昨年オフに西川遥輝、大田泰示とともに“ノンテンダー”という形で自由契約となった。3人のなかで1人だけ移籍が決まらず、今季は日本海オセアンリーグの福井ネクサスエレファンツでプレーしていた。

 ソフトバンクはFAで獲得したセットアッパーの又吉克樹が右足甲を骨折し、長期離脱を余儀なくされたため、同じ右の変則右腕である秋吉に“白羽の矢”を立てたようだ。これまでも一度自由契約となって次の所属先が決まらず、独立リーグなどを経てNPB復帰を果たした例は少なくないが、果たしてどの程度戦力になっているのだろうか。

“出戻り選手”の多くは苦戦

 近年の“出戻り選手”の主な顔ぶれと復帰後の成績一覧を文末にまとめたので、ご覧頂きたい。一覧表をみると、いずれの選手も苦戦していることがよくわかる。岩本輝(元オリックス)、歳内宏明(元ヤクルト)の2人は復帰した年には、一軍で勝ち星をあげているが、翌年大きく成績を落として退団している。古村徹(元DeNA)は肘の故障などで、一軍登板を果たすこともできなかった。

 三家和真の場合は、広島時代には育成選手だっただけに、ロッテで支配下登録されて一軍でホームランまで放ったのは大きな成長と言えるが、チームの戦力として考えるとそこまで大きなプラスだったわけではない。昨年同じロッテで復帰した小窪哲也もいきなりホームランを放ってインパクトを残したが、その後は低迷してオフにはユニフォームを脱いでいる。

 そんな中で、唯一の成功例と言えるのが、今年ソフトバンクでNPBに復帰した藤井皓哉だろう。6年間在籍した広島では一軍で14試合に登板して1勝0敗、防御率7.94と目立った成績を残すことはできなかったが、四国アイランドリーグの高知で才能が開花した。

 昨年、ソフトバンク三軍を相手にノーヒットノーランを達成するなど圧倒的な成績を残し、1年でNPB復帰となった。当初は育成選手としての契約だったが、キャンプ、オープン戦でも結果を残し、シーズン開幕前には支配下登録された。復帰登板2試合目から21試合連続無失点を記録するなど、今や中継ぎ陣には欠かせない存在となっている。ソフトバンクが秋吉獲得を決めたのも、藤井の活躍が背景にあったとも考えられる。

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