「1万8000人」感染でWHO「緊急事態宣言」 「サル痘」を巡る疑問を専門家に訊いてみた

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今後日本で流行する可能性は?

――今回の感染拡大以前に、この病が流行ったことは?

「2003年にアメリカで81人が感染したというのがこれまでで一番大きな流行でした。きっかけは、西アフリカから、ペット用としてアメリカに輸出されたねずみ類が、このウイルスを持っていた。そのねずみが、アメリカのペットショップに持ち込まれ、そこでプレーリードッグに感染させたわけです。そして、サル痘に感染したプレーリードッグが潜伏期間中にペットショップに並べられ、お客さんに買われて、そこから飼い主に感染したというわけ。ちなみにこのときは人から人への感染はありませんでした」

――そのとき、死者は?

「一人も出ませんでしたね。というのも、サル痘ウイルスには、強毒のコンゴ盆地型と、それよりは弱い西アフリカ型の二種類があり、アメリカで流行ったのは西アフリカ型だったのです。ちなみに今回流行しているのも、西アフリカ型。ナイジェリアで感染した男性が、イギリスに戻って発症し、人から人への感染が拡大しました」

――現在、世界78カ国で1万8000人が感染しているとされていますが、今後日本でも流行する可能性はあるのでしょうか。

「可能性はもちろんありますが、そこまで心配することはないと思います。というのも、サル痘ウイルスの今回の感染拡大は、男性間の性交渉がある方の中での流行がほとんどということがわかっています。とはいえ、性交渉が原因ではなく、体液を介しての感染なので、いわゆる濃厚接触をした場合に感染するというわけです。そのことを理解してさえおけば、いたずらに心配する必要はありません」

――一方、あのWHOが緊急事態宣言を出していますが……。

「弱いウイルスであるとはいえ、前回の感染者数が81人で、今回が18000人ですから、たしかに、人類がこれまで経験したことのない感染拡大ではあるわけです。感染を封じるため、各国に注意喚起を促し、情報を共有するために、緊急事態宣言を出したということだと思います。ワクチンもありますし、新型コロナウイルスのような未知のウイルスではないので、冷静に捉えられていただいていいと思います。一方、症状があり、感染に心当たりのある方は、すみやかに受診をしてください」

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