薬物乱用者は見た目で分かるのか? 子どもを薬物から守るため、親だからこそ掴める「兆候」

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子どもの部屋から見つかった「ガラス瓶」と「ストロー」

 加えて、私が現役のマトリ時代に遭遇した男子大学生の例を紹介しましょう。母親からの相談を受けて私たちが調べ始めた時点で、彼はすでに依存状態から慢性中毒に陥っていました。そして、慢性中毒者に特有の“兆候”が見られました。

 この母親によれば、大学に入学後、息子が実家に寄り付かなくなったそうです。心配した母親は、息子がひとり暮らしをするアパートを訪ねました。すると、遮光カーテンが閉め切られ、室内は昼間でも真っ暗。テーブルの上には小さなガラス瓶とストローが置かれ、テレビ台の引き出しを開けると、そこからポリ袋や透明なパイプが見つかりました。床にはレターパックが散乱していたそうです。そして、母親の疑念が確信に変わったのは、使用した形跡のある注射器が目に入った瞬間でした。

 おそらく母親は“注射器”が見つかったことに動転して、相談を持ち掛けたのだと思います。しかし、薬物捜査のプロであれば、たとえ注射器が発見されなくても、十分に“あやしい兆候”を嗅ぎ取るはずです。

喫煙者ではないのに「ライター」が

 まずはストローとガラス瓶。これらは覚醒剤を“炙り”で使用する際の道具と考えられます。このガラス瓶は100円ショップなどで売られる「アトマイザー(香水を小分けにして持ち運ぶ瓶)」で、そのなかに少量の覚醒剤の粉末を入れ、瓶の底を炙ると煙が立ち上り、その煙を半分に切ったストローで一気に吸い込むのです。これがガラスパイプの“代用品”となります。

 わざわざストローを半分に切る理由は限られますし、また、香水をつける習慣がなければ、部屋にアトマイザーがあること自体、不自然と言わざるを得ません。さらに言えば、喫煙者ではないのに部屋からライターがいくつも見つかると、それも“炙り”を疑う要素になります。

 開封済みのレターパックが発見されたことから、ネット経由で薬物を購入し、郵送で入手している。実際、母親から提供を受けた注射器とガラス瓶からは覚醒剤の成分が、パイプからは大麻の成分が検出されました。

 子どもたちをここまで深刻な状態に陥らせないようにするには、何よりも親の目が重要だと考えます。

デイリー新潮編集部

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