「文尊師は誠実な男」 岸信介が統一教会トップを称賛した“異様”な機密文書

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安倍家と統一教会“蜜月”の歴史 自民・現職大臣らも関与(前編)

 山上徹也容疑者(41)の凶行の背景には、安倍晋三元総理と統一教会の関係があったことはすでに知られている。今回ご紹介する機密資料は、安倍元総理の祖父・岸信介元総理が1984年に当時の米大統領、ロナルド・レーガンに宛てた親書。一族と統一教会の深い関係を物語る“異様”な文書の内容とは――。

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 殺人容疑で送検された山上容疑者の供述内容は連日報じられ、また、それに関連してさまざまな報道がなされている。それらを総合すると、事件のおおよその構図は定まりつつある。

 いわく、母の統一教会への信仰で、一家と自らの人生は破滅した。恨みを晴らすため、教団のトップを狙ったが果たせず、政界で最大のシンパである安倍元総理を狙った――というものだ。

 無論、彼の人生を破壊した当事者は、信仰にはまり、多額の献金を繰り返した母であるし、そこに導いた統一教会である。その恨みを安倍元総理に向けるのは破綻した論理であり、まして命を奪うという凶行に至っては、論理の飛躍が甚だしいことこの上ない。

 一方で、故人や自民党が歴史的に同教会と深い関係にあるのは事実。そこにも目を向けないと、このねじれにねじれた事件の全貌把握に至れないのもまた明らかであるのだ。

〈文尊師は、現在、不当にも拘禁されています〉

〈親愛なる大統領閣下 日本では富士山の山頂付近で雪が輝き、本格的な冬の到来を告げております。貴国のご様子はいかがでしょうか〉

 そう記された文言で始まる親書がある。

 出された日付は1984年11月26日。差出人は岸信介。言わずと知れた元総理で、安倍氏の祖父に当たる。宛先は当時のアメリカ大統領、ロナルド・レーガンだ。

 この書簡は、彼に関連する資料を保管する米カリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館のファイルにあったもの。ジャーナリストの徳本栄一郎氏が5年前、本誌(「週刊新潮」)の依頼で同所を訪れた際に発掘した貴重な文書である。

 手紙は時候のあいさつで始まり、レーガンが選挙で勝利を収めたことへの祝辞が続く。が、「昭和の妖怪」がそんな用件で米大統領に親書を送るわけはない。途中から一転、話は“本題”へと移っていくのだ。

〈大統領、今日は、貴殿にお願いがございます。貴殿もお知り合いの可能性があると思われる人物、文鮮明尊師に関するものです〉

 唐突に出てくる、統一教会の開祖・文鮮明の名。書簡はこう続く。

〈文尊師は、現在、不当にも拘禁されています。貴殿のご協力を得て、私は是が非でも、できる限り早く、彼が不当な拘禁から解放されるよう、お願いしたいと思います〉

 文鮮明はその前にアメリカで、脱税容疑にて起訴され、84年4月には懲役1年6カ月の実刑判決を受けて連邦刑務所に収監されていた。

 つまり、この書簡は、日本の元総理がアメリカの現職大統領に宛てて、韓国人「脱税犯」の逮捕が不当だとして釈放を依頼するという、極めて異例の内容なのだ。

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