“国葬”決断の岸田首相は新型コロナの「2類見直し」はグダグダ 医療崩壊が起きれば間違いなく“人災”

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弱毒化するコロナ

 7月10日に投開票された参院選でも、日本維新の会と国民民主党が「2類の見直し」を公約に掲げた。

 政界だけでなく財界からも同じ意見が出されている。経団連の十倉雅和会長(72)は7月14日に大阪市内で記者会見を開き、「5類への見直しを政府に検討してほしい」との考えを示した。

 デイリー新潮は今年1月7日、「『オミクロン株』感染者急増中 2類相当をインフルエンザと同じ5類相当に引き下げるのはいつか」との記事を掲載した。

 この記事では現役の医師が取材に応じ、5類への引き下げは“待ったなしの状況”との考えを示した。コメントを再掲しよう。

《「2類相当の場合、普通の病院では患者さんを入院させることができません。医療逼迫が起きやすい理由の1つでもあるのです。充分な感染対策は必須ですが、もし5類相当になれば、制約なく広く検査を受けることができ、必要なら家族が近くの処方薬局で薬をもらい、自宅で治療できるようになります」》

《「猛威を振るった感染症は必ず、弱毒化していき、最後は人間と共存するようになります。ウイルスにとっても、寄生した人間が皆病死すると、自分も存続できません。大きな被害を与えた2009年の新型インフルエンザも、今では季節性インフルエンザの一種に過ぎません。新型コロナも同じ状況になるのは間違いないでしょう」》

デメリットの解消策

 メリットだらけの2類見直しだが、いくつか「国民にとって不利益となる」点がないわけではない。

 ネット上でも指摘されているが、特に関心を集めているのは「医療費の自己負担が増加する」、「入院調整が行われないため、重症者でも入院できないリスクが増加する」の2点だ。

「しかし、結局は法律上の問題です。2類を見直せば医学上の大問題が発生するわけではありません。医療費なら『費用は当分、2類と同じにする』と法整備すればいいだけの話です。入院の問題も同じでしょう。そもそも『陽性者は全員入院』という原則がありましたが、岸田政権が見直し、今は自宅療養の弾力運用が行われています」(同・記者)

 ところが、2類の見直しについて、岸田文雄首相(64)は常に慎重な姿勢を示している。

 2月17日の会見では、記者から「新型コロナを感染症法の2類相当から5類相当に引き下げる考えは?」という質問が出たが、「このタイミングで分類を変更するのは現実的ではない」という回答だった。

岸田首相の“決断力”

 松野博一官房長官(59)も、7月13日の記者会見で5類への引き下げを否定した。「最大限の警戒局面にある現時点で変更することは現実的ではない」という理由だった。

 岸田首相と文言がほぼ同じ、まさに“判で押したよう”な回答だ。ベテランの政治記者が苦笑しながら言う。

「岸田さんは、安倍晋三元首相の国葬問題で、珍しく決断力を示しました。事前に『世論が二分する問題だ』と懸念が示されており、実際に実際、賛成と反対で有権者は割れています。一方、国葬の問題と違って2類の見直しは医療崩壊を解消させ、多くの国民に現実的な利益をもたらします。にもかかわらず、見直しの問題で岸田さんに決断力を発揮してほしいと言っても無理なようです」

デイリー新潮編集部

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