「山下達郎」最新ライブを記者も鑑賞 衰え知らずの「ボーカル」と、「ヒットメーカー」としての覚悟

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新作はオリコン1位を獲得

 山下がMCで、6月22日に発売された新作「SOFTLY」がオリコン1位を獲得したことを報告すると、客席からは割れんばかりの拍手が巻き起こる。山下は現在69歳なので、「アルバム1位を獲得した最年長アーティスト」記録では、矢沢永吉に次ぐ歴代2位の快挙となる。自身の楽曲のサブスク配信を固辞している山下が、その存在感を示した格好だ。

 そして、この日のライブパフォーマンスもやはり圧倒的だった。今後、ツアーを観賞される方のためになるべく曲名は伏せるが、ライブでは長年のファンではない身でも口ずさめる代表曲を次々と繰り出していく。会場中に響く高音のボーカルはもちろん、その歌声が衰えていないことは明白だ。

 圧巻だったのは、いまも冬になれば必ず日本中で流れる名曲である。この曲を巡っては、6月21日にスポニチアネックスが報じた、山下がラジオ番組「くにまる食堂」(文化放送)に出演した際のコメントが注目を集めた。山下は次のように語ったという。

<基本的に1回しか見られない時に、47公演あって、出来、不出来もありますけど、その山をなるべく平らにして、いつも同じクオリティーのものを提供するというのはこっちの義務なんでね。で、『クリスマス・イブ』を聴きに来てる人が大半なので。いつもそういうこと言われるんです“飽きたからやめろ”とか。絶対にやめません。僕は>(スポニチアネックス・6月21日付)

女性客の流した涙

 イントロでハッとさせられた後、生声でこの曲を聴けることに胸を高鳴らせていると、ドラムとベースが心地よく響き、曲の盛り上がりに合わせて観客の身体が揺れ始める。

 屈強なバックバンドの演奏力と、古希を目前に控えながら全く衰えを知らない山下のボーカル、そして、時代を超越した楽曲の魅力。そこに「懐メロ」という印象は皆無だった。演奏の最中、山下が客席に向かって手拍子を求めると、会場中が拍手の音に包まれる。ふと隣を振り向くと、マスクをした女性客が大粒の涙を流していた。

 MCで何度となく「みんなで助け合って、いたわり合いながら生きていきましょう」と繰り返した山下。卓越したミュージシャンであり、優れたシンガーであり、稀代のヒットメーカーであることを改めて証明したが、それ以上に彼が現在進行形の「スター」であることを深く認識させられるライブだった。

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