3連休ソウルルポ 日本人観光客の“定番スポット”「明洞」は空き店舗だらけ 日本語案内も消滅

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 ようやく再開した韓国旅行に、早速、観光ビザを取得して行ってみた。驚いたのは、日本人観光客で溢れかえっていたソウル最大の繁華街・明洞(ミョンドン)の変わりようである。街のあちこちで目立つ空き店舗。裏路地に足を踏み入れると、ゴーストタウンのような光景が広がっていた。(墨田龍一/ライター)【弾丸ソウルルポ前編】

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日本語が消えた値札

「マッサージ、安くしますよ!」
「日本人に大人気の化粧品扱っています!」

 コロナ禍前までは、明洞を練り歩くと当たり前のように日本語で話しかけられた。明洞はいつ行っても日本人観光客で溢れかえり、活況を呈していた街だった。だが、3年ぶりに訪れると景色は一変していた。

 メイン通りの入り口からして空き店舗になっている。かつて左にはミリオレというショッピング施設、右にはユニクロが入ってランドマークとして聳(そび)えていた。

 通りにひしめき合っていた屋台も寂しい限りだ。トッポッギ、フルーツジュース、子供服、靴下、おもちゃなどを扱った屋台が200メートルくらい連なっていたのに、数店舗にまで激減している。やがて、5分ほど歩くうちに、大きな変化に気づいた。

 値段表やPOPに日本語が見当たらないのだ。

韓国人にとっては「ダサい街」

 例えば、Netflixのドラマ「イカゲーム」で日本人にも有名になった、タルゴナという型抜きができるお菓子を売っている屋台。ハングル文字と「1000W」といった値段表記しか見当たらない。3年前ならば「ウォン」や「イカゲーム」といったカタカナ表記があったはずである。

 屋台ばかりではない。開いている店舗の表に掲げてある看板やメニュー表のほとんどがハングル表記なのだ。日本では韓国旅行再開が大きなニュースになっていたが、日本人客の姿もほとんど見受けられない。化粧品店で2~3組の女性とすれ違ったくらいであった。

「この街はこの3年間、死ぬ思いでサバイバルをしてきたのです」

 こう語るのは、日本人男性向けの韓国旅行案内サイト「k-enjoy.net」を運営しているオ氏である。

「ここは日本統治下の時代から日本人向けの商店街として栄えてきた歴史があります。コロナ禍で日本人の穴埋めとして、韓国人客を呼び寄せる努力をしたものの上手くいかなかった。韓国人にとって明洞はダサく、観光客向けでなんでも高いという先入観がある。日本人客で溢れかえるコリアンタウンの新大久保とはまったく違うのです」

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