「札幌地裁ヤジ判決」が安倍元首相の射殺を招いたのか 朝日新聞も読売新聞も言及

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 札幌地裁「ヤジ訴訟判決」の影響で警察が萎縮、安倍晋三元首相(享年67)が射殺された一因となったのではないか──こうした指摘が徐々に広まり、賛否両論の議論となっている。

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 警察の警備体制を疑問視する声が多かったこともあり、Twitterなどネット上では「札幌ヤジ判決原因説」が拡散。朝日新聞と読売新聞の社説が“対立”するなど、関心は高まる一方だ。

 とはいえ、「札幌地裁の判決」と言われても、全く分からない人も多いだろう。まずは事件の発生から振り返ってみたい。担当記者が言う。

「2019年7月、当時の安倍首相は参院選のため札幌市内で街頭演説を行っていました。その時、男性と女性、合わせて2人が、『安倍辞めろ、帰れ』、『増税反対』などとヤジを飛ばしたため、北海道警の警察官が体などを掴んで後方に移動させたのです」

 朝日新聞がスクープ記事として報じ、毎日新聞などが追随した。更に共同通信も記事を配信し、全国の地方紙が掲載した。

 ちなみに朝日新聞は当初、2人の男女を《市民》としていたが、後に《団体職員の男性(34)と、当時大学生だった労働団体職員の女性(26)=いずれも札幌市在住》と報じた。一方で産経新聞は、男女の実名を報じた。

“勝訴”の地裁判決

「朝日、毎日、共同は、『ヤジを飛ばした市民を排除した道警は職権の乱用。その背景として、安倍政権への忖度があったのではないか』と疑問視する報道を行いました。一方、読売新聞と産経新聞は、当初は記事化を見送ったり、裁判の報道も最小限にとどめたりするなど、慎重な報道姿勢を示しました」(同・記者)

 特に朝日新聞は、自社のスクープだったこともあり、常に詳報を続けた。“キャンペーン報道”と言っていいほどの入れ込みようだった。

 更に、排除された“市民”は法的措置を取った。刑事告訴は不起訴が確定したため、焦点は民事訴訟となった。

「今年3月25日、札幌地裁は『原告らの表現の自由などが違法に侵害された』などとし、北海道に88万円の支払いを命じました。ヤジを飛ばした男女を排除した北海道警の行動は、憲法に違反すると認定したのです」(同・記者)

 興味深いのは、原告側代理人のコメントだった。「憲法判断をせず、違法に精神的苦痛を負わせたとだけ述べて判決を済ませることもできた。踏み込んだ判決だ」と、想定以上の判決が出たと評価したのだ。

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