「札幌地裁ヤジ判決」が安倍元首相の射殺を招いたのか 朝日新聞も読売新聞も言及

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甘かった警備

 積極的な警備を評価した部分もあるのだ。改めて札幌地裁の判決文を見てみよう。原告の1人が安倍元首相の乗る車両に向かって《突然走り出した》という行為について、以下のように指摘した。

《演説車両に接近するという物理的な動作を伴い、なおかつこれに向かって突進するというものであって、これを現認した警察官らにおいて、原告1が演説車両の周囲にいる関係者に体当たりやその他の暴行をしたり、演説車両上の安倍総裁その他の関係者に物を投てきしたりするおそれを抱いたとしても、特段不自然、不合理というものではない》

 こうした指摘については、弁護士ドットコムニュースの取材に応じた澤井弁護士も判決文を引用し、奈良市内での警察による警備を、

《容疑者が黙って演説を聞いている時点では未だ不審者とまではいえないので、その段階で職質をかけるのは難しかった》

 としながらも、

《その後に、安倍元首相の背後に回り接近を開始した時点で「安倍元首相に物を投てきしたりするおそれ」が発現したものとして、容疑者に対しては警職法5条に基づく取り押さえ、同時に安倍元首相に対しては警職法4条に基づく避難措置(伏せさせる、現場から隔離する等)を取るべきだったと思います》

 と警備の甘さを指摘している。

註:ヤジ排除「表現の自由侵害」 道警側に賠償命令「重要な憲法上の権利」 元首相の演説警備巡り 札幌地裁(朝日新聞:3月26日)

デイリー新潮編集部

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