安倍元総理の親友が明かす最後の会話 「別れ際、大変だろうからユンケルを手渡した」

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宴会芸が好きで、一緒に漫才をしたことも

 安倍さんといえば、強面なイメージがあるでしょうが、素顔の彼は、優しくて明るい、本当に面白い人。偉ぶることもなく、焼き肉屋に行けば「その肉はまだダメ」と言いながら、自分でひっくり返す人でした。

 宴会芸も好きでね。若い頃は二人で組んで漫才みたいなことをしていましたよ。安倍さんが司会で私が「どぅもぉ、おぉひぃらまさぁよぉしぃです」と大平(正芳)元総理のものまねをしたりしてね。90年代の後半、清和会の夏の研修会がプリンスホテルであったんです。ちょうど、亀井(静香)さんの一派が会から出て行きそうになっていた時で、雰囲気が暗かった。「和ませるためには俺たちがやるしかねえんじゃねえか」と安倍さんを引っ張って、芸をやったんです。中身は忘れてしまったけど、とにかく、場が凍り付いたようにシーンと静まり返ったのだけは覚えています。部屋に戻ったら安倍さんは「荒井ちゃん、失敗だったな」って。

仲間を徹底的に守ってくれる人

 私が03年の衆院選で落選した後のこと。私を食事に誘い、安倍さんは親父さんの晋太郎先生が落選した時のことを話してくれました。浪人時、乗った車が国会の前を通ろうとした時、親父さんは運転手に向かって「前を通るな!」と叫んだという。再起を期しているわけだから、国会の前を通れば、無用な感傷を生むということでしょう。赤じゅうたんを未練がましく思っていた私に対し、次で勝てばいいんだから吹っ切れと励ましてくれたんだと思います。

 親父さんの様子を間近で見たからこそ、安倍さんは落選した議員には優しく、私も含め、皆の世話を親身になってしていました。

 私は自民党時代、郵政民営化に反対し、小泉(純一郎)元総理に嫌われていた。しかし、当時幹事長だった安倍さんは私との友情を優先し、04年の参議院選で、落選中の私を公認してくれたんです。当選後、安倍さんは小泉さんに呼び出されて「荒井君が受かっちゃったじゃないか!」と叱られた。それに対して安倍さんは「まぐれってあるもんですね~」と言いながら逃げてきてしまったそうです。仲間は徹底的に守ってくれる人でした。

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