安倍元総理の親友が明かす最後の会話 「別れ際、大変だろうからユンケルを手渡した」

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 元総理が政界で最も心を許した人物と言っても過言ではないだろう。荒井広幸・元内閣官房参与(64)は、故人と初当選同期で“心友”ともいわれる間柄だった。その荒井氏が明かす「安倍秘録」。

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 安倍さんと最後に会ったのは、亡くなる前日、7月7日のことでした。

 その数日前、安倍さんは私の地元・福島で出馬している候補の応援に入ってくれた。でも私は別の用事があって会えなかった。それがなぜか気にかかり、話したいな、と。その日、私は大阪にいて、安倍さんが関西に来ることはわかっていましたから、秘書さんに聞いたら、15時に伊丹空港に着くという。で、空港の車寄せで短時間ですが会うことができました。福島でのお礼などを言って、「荒井ちゃん、今日、泊まるの?」「いや、東京に帰ります」などと交わしたのが最後の会話です。

 別れ際、安倍さんが車に乗り込む際に、選挙の応援で大変だろうから、と秘書さんにユンケルを5本、差し入れました。

 以前から安倍さんと会う時は、私がユンケルを持って行くのが恒例。二人で飲んで元気をつけてから、政策の話、権力闘争の話、健康の話なんかをしていたんです。だからその日も、ユンケルを。

「最後に先生の差し入れを口にして…」

 安倍さんが亡くなった後に、秘書さんからこんなことを言われました。

 あの日、大和西大寺駅前で安倍さんは「これ、荒井ちゃんのか」と言ってユンケルを飲んだ。そして演説に立ち、あの事件が起こったと。

「最後に先生の差し入れを口にして旅立ちました……」

 そう声を震わせながら教えてくれたんです。

〈荒井氏は、1993年に自民党から政界入りし、衆院当選3回、参院2回。2005年、郵政民営化に反対して自民党を離れて以後は、新党日本などの小政党を渡り歩き、16年、政界引退を表明した。

 安倍元総理とは衆院初当選の同期で、以来、固い絆で結ばれた。自民党時代だけでなく、荒井氏の離党後も折に触れて面会し、大みそかに両夫妻でホテルで食事をすることも。第2次政権下では、内閣官房参与に任命されたほど。安倍氏が政界でもっとも心を許していた人物、との評が定着している。〉

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