ピスタチオ解散後のピン芸人「伊地知大樹」に注目すべき理由

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 この世は諸行無常。かつて一世を風靡した芸人が、活動に行き詰まって引退やコンビ解散を発表するときには、何とも言えない寂しさが漂うものだ。今年5月にお笑いコンビ・ピスタチオが解散したときにも、そのような感慨を抱いた。

 伊地知大樹と小澤慎一朗の2人から成るピスタチオは、不気味な衣装と髪型の2人が独特の間合いで会話を進めて、ときどき白目をむく「白目漫才」で注目され、2015年頃に大ブレークした。

「白目漫才」は漫才の常識を覆す斬新なネタだった。得体の知れない風貌の2人が両手を前に組み、真正面を向いたまま、語尾を強調する奇妙な話し方でかみ合わないやり取りを繰り広げる。一度見たら忘れられない強烈なインパクトがあった。

 このネタができるまでの彼らは、なかなか思うように笑いを取ることができず、ネタの形をあれこれ変えて試行錯誤を繰り返していた。行き詰まりを感じて、最後の最後にやけくそになって「白目漫才」を演じたところ、そこに手ごたえを感じて、一気に大ブレークを果たした。

 彼らは時代の寵児となり、その勢いはとどまるところを知らなかった。同時期に人気を博したバンビーノ、クマムシ、8.6秒バズーカーと4組で全国5都市を回る「OPARTY」というライブが開催されたこともあった。

 しかし、徐々にそんな彼らの人気にも陰りが見え始めた。当時のピスタチオは、ネタの中ではまともにしゃべらない不気味なキャラクターを演じていた。ネタ以外で普通に話すことを求められる場面では、そのキャラクターを捨てなければいけない。そこに彼らの弱みがあった。2人が作り上げたキャラクターの完成度が高かったからこそ、それに足を引っ張られるようなところがあったのだ。

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