大阪・2歳女児虐待死 異常なスパルタ教育の実態と実父によるDV

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 大人の身勝手で幼い子供が暑さの中で命を奪われる。この季節になると、必ずといっていいほど起きる悲劇となってしまったが、今回の事件は過去に類のないほど複雑な家族関係を抱える。育児経験が豊富なはずの子だくさんの祖母が、なぜ孫を死に至らしめたのか。

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 まだ物心がつく前の幼児とはいえ、意識を失う前までの苦しみはどれほどのものだったろう。いくら水が欲しいと助けを求めても、そこには両親はおろか、手を差し伸べてくれるはずの大人は誰もいなかった。

 6月29日、大阪府富田林市にある団地の一室で、熱中症による脱水症状で亡くなった小野優陽(ゆうは)ちゃん。まだ2歳の女児を自宅で11時間にもわたり放置し死亡させたとして、大阪府警は保護責任者遺棄容疑で祖母の小野真由美容疑者(46)と、同棲していた桃田貴徳容疑者(50)を逮捕した。

 その日、府内の最高気温は33度に達し、同じ近畿地方の兵庫県豊岡市や京都府舞鶴市、滋賀県彦根市などでは6月の観測史上最も高い気温を記録。猛烈な熱波が各地を襲っていた。

 大人でも冷房の効かない部屋に閉じ込められたとすれば、5分と経たないうちに汗だくになり、水を口にしたくなるのは言うまでもない。にもかかわらず、両容疑者はいたいけな女児を自宅に設けた乳児用の柵、いわゆる「ベビーサークル」内に放置し、外出したのだ。

約1メートル四方の柵の中に…

 両容疑者が向かった先は大阪市内にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)。同居していた五男(5)と3人で向かった小野容疑者は、取り調べの中で“日頃のストレスがたまっていた”と述べている。

 社会部デスクによれば、

「女児が入れられた柵の大きさは約1メートル四方で、高さ90センチほど。幼い子が乗り越えるのは不可能で、おまけに両容疑者は柵の隙間を塞ぐため板張りにしていた。それで余計に風の通りが悪くなり、熱がこもる格好になっていました。発見時、室内のエアコンは28度に設定され扇風機も回った状態でしたが、救急隊員が駆けつけた際は異常な暑さだったそうです」

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