小園健太は「二軍でも登板なし」、風間球打は「スキャンダル」 ドラ1ルーキー12人の気になる“現在地”

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“未完の大器タイプ”

 一方の黒原は、ここまでリリーフで12試合に登板して防御率は6.52で、デビューからは7試合連続無失点を記録した。150キロに迫るストレートは十分に一軍の打者にも通用していただけに、変化球の精度を上げることができれば再び昇格のチャンスもあるだろう。

 怪我で出遅れながら徐々に実力の片鱗を見せつつあるのが、椋木蓮(オリックス)、山下輝(ヤクルト)、ブライト健太(中日)の3人だ。

 特に椋木は、ここまで二軍でチームトップタイとなる4勝をマーク。大学時代はリリーフでの起用が多かったが、長いイニングでも力を発揮できるようになってきている。一軍デビュー戦となった7月7日の西武戦では、6回2安打無失点の好投、プロ初先発初勝利を達成した。昨年の大学生右腕ではトップと言える投手だっただけに、後半戦のキーマンとなることも十分に考えられる。

 山下は、二軍でまだ1試合の登板ながら140キロ台後半のスピードをマークし、ブライトも同じく二軍で2本塁打を放っている。ともに“未完の大器タイプ”だけに今年の戦力としては考えづらいが、テスト的な意味合いでの一軍デビューはあってもおかしくないだろう。

気がかりな「高校ナンバーワン」右腕

 残るは、松川以外の高卒ドラ1である小園健太(DeNA)、風間球打(ソフトバンク)、達孝太(日本ハム)、森木大智(阪神)、吉野創士(楽天)の5人。

 この中で順調にステップアップしているのが、達と森木の2人だ。達は、短いイニングでの登板ながら、二軍で7試合12回を投げて14奪三振、防御率は1.50を記録。ストレートは自己最速を更新する150キロをマークしている。

 森木は達を大きく上回る35回2/3に登板し、防御率は4.29ながら37奪三振を記録。持ち味であるストレートとスライダーは二軍の中でも目立つレベルにあり、早ければシーズン後半の一軍デビューもありそうだ。

 少し気がかりなのが高校ナンバーワンの呼び声高かった小園だ。大事に育てるという球団の方針もあるが、一軍も二軍も投手陣が苦しい中でまだ実戦デビューを果たしていない。この起用に他球団のスカウトからも疑問の声が上がっている。

「去年は高校生にいいピッチャーが多かったですが、完成度は小園が頭一つ上という印象でした。コントロールと変化球は特に高校生離れしたものがありましたね。ストレートの力がもう少し出てくれば早くから一軍でも投げられると考えていたチームも多いと思います。少なくとも今の森木より二軍では投げられるんじゃないですかね。ただ、怪我をしているわけではないのに、7月になってもまだ(試合で)投げていない。佐々木(朗希)みたいに明らかに身体がスピードに耐えられないというわけではないのに、ここまで投げないというのはちょっと遅いように見えますね。試合で投げてみないと分からないこともあるし、そこで色々気づいてレベルアップしていくわけですから。後半戦は投げると思いますが、少し慎重過ぎないかなと思いますね」(他球団の関西地区担当スカウト)

 7月下旬には実戦デビューの予定とも報道されており、順調にトレーニングを積んでいるようだが、実戦で投げて得られるものもあるというのは確かである。親会社がDeNAとなって、初となるドラフト1位で入団した高校生投手ということで、かなり慎重になっているという面は間違いなくありそうだ。

 一方、風間はソフトバンクは時間をかけて育成する方針で、二軍戦でも実戦デビューしていない。ただ、週刊文春(2022年7月14日号)で女性スキャンダルが報じられるなど、私生活の乱れが少し気になるところだ。

 同じドラフト1位でも1年目に求められるものはそれぞれ違い、現時点の差は決して大きいものではないかもしれないが、来年にはまた新たなドラ1が入団してくるため、期待される期間は決して長くない。来年以降に繋げるという意味でも後半戦に、この12人がどんなパフォーマンスを見せるのかにぜひ注目してもらいたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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