酸素吸入器をつけながら歌わせてと懇願 葛城ユキさん「最後のステージ」を夢グループ社長が語る

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 6月27日、「ボヘミアン」などのヒット曲で知られる葛城ユキさんが亡くなった。73歳だった。ステージ4の原発性腹膜癌であることがわかり、手術を経て今年5月17日に復帰したばかりだった。生前から「(自宅の)マンションで死ぬと周囲に迷惑をかけるので病院で息を引き取りたい」と語っていた。容体が急変すると自ら救急車を呼び、5時間後に搬送された病院で亡くなった。その間に電話をもらったという、「夢グループ」の石田重廣社長(63)に話を聞いた。

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石田:昨日(27日)の朝、彼女から電話をもらいました。「社長、これから救急車呼ぶので……。今までありがとう。体に気をつけてください」と。もちろん体が悪いのは知っていましたけど、まさか、その日の午後に亡くなってしまうとは思いもしませんでした。

――葛城さんは近年、夢グループのコンサートで全国を回っていた。

石田:夢グループの「夢スター」コンサートには春チームと秋チームがあるのですが、春チームのメインと言っていいのが葛城さんでした。彼女が歌うのはロックですし、自分が盛り上げなきゃという意識が高い人でした。ですから、他の方は1曲ずつでも彼女には2曲歌ってもらったりしていたんです。「夢スター春」は僕が企画したものですから、これだけは毎回同行していたんです。ここ5~6年は、年100回は一緒でしたね。僕も酒好きですが、彼女はビールを10杯から20杯はいけるくち。打ち上げで最後まで付き合うのは僕だけでした。お姉さんみたいな存在でした。

――彼女の病が判明したのも、きっかけは夢グループのコンサートだった。

病気を知ってビール

石田:昨年の4月5日、下関で開催された夢グループのコンサートで、平浩二さんがステージで倒れてしまったんです。救急車で搬送するとくも膜下出血でした。数年前にはチェリッシュのエッちゃん(松崎悦子)も胃癌を患ったしね。みんな調子が悪くならないと病院に行かないような人たちだから、「人間ドックへ行こうよ」って言っていたんですよ。葛城さんもバスの中で体調が悪そうに見えたことがあったので、本人にも自覚があったと思うんです。それで行ってみたら、再検査に。再検査で原発性腹膜癌のステージ4だとわかったんです。

――相当なショックだったろう。

石田:入院前、夢スターで最後のコンサートは八戸でした。「天国行ったとしても、戻ってくるにしても、当分、飲めないからね」とビールをたくさん飲んでいました。僕は「待ってるからね」と。彼女は八戸のコンサートの後、(2001年)4月29日には日比谷野外音楽堂の「NAONのYAON」に出演して、入院したんです。

――10カ月入院し、2度の手術を受けた。

石田:今年4月に退院して、「歌えそう」ということだったので、5月のコンサートに入ってもらったんです。

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