筋トレブームの火付け役が「1日15分しかしない」理由 60歳までに筋トレを始めるべき?

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大事な筋肉ほど衰えやすい

 体重を支える筋肉の代表である腿の前側の筋肉、大腿四頭筋の筋肉量は、20~30歳の最大時に比べ80歳の頃に半分程度に減ってしまいます。これを単純に考えると若い頃に片足で床から立ち上がれなかった人が80歳になったら、両足でも難しくなることを意味します。つまり、自活した生活を送るだけの筋力を充分に保てるかどうかは、80歳がひとつのラインになるといえるのです。

 また、筋肉の萎縮は30歳くらいから進行し、60歳のあたりで加速するので、80歳の壁を越えるには、60歳が鍵の年齢になるとも考えられるでしょう。いずれにしても、〈今からでもやっていいんです〉に変わりはありません。

 高齢者が筋トレをする上でとりわけ意識したい部位は、身体を支える抗重力筋といわれる部位です。大腿四頭筋、お尻の大殿筋、ふくらはぎの外側の腓腹筋と内側のヒラメ筋。また、股関節付近の筋肉で足を振り出す腸腰筋もてきぱき歩く上で重要です。

 残念なことに、人間にはこれらの「大事な筋肉ほど衰えやすい」という特徴があります。種としての繁栄のために、次の世代に譲るべくプログラミングされているからかもしれません。しかし人生100年時代、このプログラムに従っていてはQOL(生活の質)は保てません。

スクワットとランジ

 こうした重要な筋肉を鍛えるのに非常に大切なトレーニングのひとつはスクワット。そしてもうひとつは、大股で前に踏み出し、後ろ足の膝が地面に着くくらいまでしっかりと腰を沈めるランジです。ランジは踏み出す足の大腿四頭筋、大殿筋だけでなく、引き戻す際に後ろ足の腸腰筋にも強く負荷が掛かるので効果的です。

 ランジは転倒リスクが高いように思われがちですが、テーブルなどに手を添えながらやれば転ぶことはまずありません。むしろスクワットのほうが、股関節や足首が硬いと重心が後ろに掛かり、後方に転倒しやすい。ランジのように前に踏み出す動きだと、前に倒れそうになったら、人間、自然と足が出ますが、後ろに転びそうになっても、後ろに足は出せないものです。したがって、スクワットを安全と決めつけずに気を付けて行う必要があるといえます。

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