コロナ給付金詐欺、申請代行業者が語った“手口” 自主返還が急増する背景は

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 国民を救うはずの制度が生み出したのは大量の「犯罪者」――。コロナ禍で企業を支援する持続化給付金をだまし取る事件が続発している。制度の盲点を突き、申請代行業者が現れれば、罪を逃れんとする自主返還も急増中。目下、詐欺列島ニッポンの様相を呈しているのだ。

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 なにゆえかくも次々と血税は掠め取られたのか。

 またもや、政府肝いりの政策だった「持続化給付金」の詐欺事件が露見した。

 2日、警視庁は持続化給付金をだまし取ったとして、東京国税局職員の塚本晃平容疑者(24)、佐藤凛果容疑者(22)ら男女7人を逮捕した。その被害額は約2億円にまで上ると見られている。

「知人の大学生や高校生などを勧誘し、約200人に虚偽の申請をさせていました。塚本容疑者は申請に必要な確定申告書類の偽造を担っており、その主犯格は海外に逃亡しています」(警視庁担当記者)

 塚本容疑者が住んでいた自宅アパートの大家は不穏な生活ぶりを感じていた。

「同世代の男性と2人で住んでいて、家賃は8万円の3DKでした。今年2月に入居した際、NURO光というインターネット回線を敷きたいと言われ、工事に立ち会うと、8畳間の部屋の中に机が2台あり、パソコンのモニターが3台ずつ置かれていた。“個人投資家か、ゲーマーですか?”と聞くも、はぐらかされてしまいました」

詐欺被害は30億円超

 本件に限らず、給付金を狙った詐欺事案は続々と立件されている。現役経産省キャリアが逮捕された事件は記憶に新しいが、4月末までに全国で3655人が摘発され、詐欺による被害の総額は31億8400万円にもなる。その多くが確定申告書類や売上台帳を偽造して、申請されたものだった。

 2020年5月から翌年2月まで申請期間が設けられた持続化給付金では、約424万件の企業と個人事業主に計5.5兆円もの巨額の税金がバラまかれた。指定された期間のうち、売り上げが前年同月比で半減した月があれば誰でも申請でき、かつ手続きは極めて簡便。確定申告書の控えや身分証、売上台帳などがあれば可能だった。税理士などのチェックもいらなかったために詐欺が横行し、申請を代行する者も現れた。

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