防衛費5兆円増でも…自衛隊員から「財務省に殺される」という悲鳴が上がる現実

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“アウトソース”の弊害

「陸上自衛隊と航空自衛隊は、自前の輸送システムを持っています。ところが海上自衛隊の分は、財務省が認めないのです。『船で大量の物品を運べるから、輸送網の整備は必要ない。港での積み下ろしは、民間企業にアウトソースしろ』というわけです。百歩譲って、平時ならそれでもいいでしょう。ただ有事となると、軍港は敵軍が狙う最重要拠点になります。アウトソーシングなど論外です」(同・軍事ジャーナリスト)

 戦争が勃発すれば、敵軍は全力で軍港の破壊、占領を狙う。そんな危険な場所で、運輸会社に勤務する民間人を働かせていいのか、という問題だ。

 有事で運輸会社の人間が逃げ出しても、彼らを責めることはできない。港から輸送担当者が消えてしまったら、一体どうするのか。

「給養員さんの問題もあります。護衛艦で働く調理師さんのことです。財務省は同じ理屈で『護衛艦の給養員が海上自衛官であることは認めるが、陸上基地の食堂は民間にアウトソースしろ』と言います。しかし有事になると、護衛艦の給養員が急に必要となる時があります。その時のため、基地の給養員も海上自衛官である必要があるのです。有事に備えるということは、そういうことなのです」(同・軍事ジャーナリスト)

財務省は自衛隊員を殺す

 財務省に自衛隊員は殺される──こんな物騒なことを言う隊員もいるという。陸上自衛隊の隊員が携行する「救急医療キット」が貧弱なためだ。

「かつて自衛隊のキットは、極端に言うと、包帯と三角巾ぐらいしか入っていませんでした。さすがに今は改善されましたが、アメリカ軍と比べると貧弱です。例えば、アメリカ軍の場合はモルヒネを筆頭に様々な医薬品が準備されていますから、負傷しても鎮痛などの応急処置を施され、救援を待つことができます。ところが自衛隊員は、激痛にのたうち回りながら戦死する可能性があるのです。薬事法の規制といった問題もありますが、財務省の予算査定が厳しすぎるのも原因の一つです」(同・軍事ジャーナリスト)

 もちろん、自衛隊員の“言い分”ばかりを聞き、財務省を悪役にするつもりはない。防衛省にも猛省すべき点があるという。

「防衛省は、有償軍事援助(FMS)の問題を抱えています。極めて簡単に言うと、自衛隊はあまりにもアメリカ側の“言い値”で武器を購入させられているのです。おまけに前金で、納期もアメリカ任せです」(同・軍事ジャーナリスト)

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