4年前の「ひょっこりはん」が最後…一発屋芸人が現れなくなった3つの理由

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減った「3つの理由」

 理由は大きく分けて3つ考えられる。1つは、そういうタイプの芸人が出るようなネタ番組が減っているということだ。一発屋芸人が大量に輩出していたのは、2000年代後半のお笑いブームの時期である。この頃には、プライムタイムに「エンタの神様」(日本テレビ)や「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ)というネタ番組がレギュラー放送されていて、芸人がたくさん出演していた。

 のちに一発屋芸人と呼ばれた芸人の多くは、これらの番組から世に出てきた。彼らは、番組に何度も出演してネタを披露してきた。そこでキャラクターやギャグが認知され、その実績をベースにしてほかの番組にもどんどん出ていく、という流れがあった。

 現在のテレビでは、そのような影響力の大きいネタ番組がほとんど存在していない。だから、特定の芸人がある番組で注目されて一時期だけ話題になることはあっても、その波がほかの場所まで広がりにくいのである。ネタ番組そのものは決して少ないわけではないのだが、ここで注目されれば一夜にしてスターになる、といった感じではなくなっている。

「エンタの神様」や「爆笑レッドカーペット」は、芸人が大空へ飛び立つための滑走路のような役割を果たしていた。滑走路に十分な長さがあったからこそ、彼らはその後で高く飛ぶことができたのである。現在は滑走路が存在しないか、あってもごく短いものしかないため、一発屋芸人と呼ばれるほどの大きい「一発」を放つこと自体が難しくなっているのだ。

 2つ目の理由は、芸人がすぐにキャラクターをはぎ取られてしまう風潮があるということだ。「エンタの神様」や「爆笑レッドカーペット」はネタ番組なので、そこに出る芸人はネタを演じるだけであり、トークをすることはない。そのため、どんな性格か、どんなことを考えている人なのか、といった素顔の部分を見せる必要がなかった。そのため、彼らは一種のキャラクターとして内面を見られない状態で世に出ることができた。

 しかし、最近のバラエティ番組はトークが主体であるため、駆け出しの芸人がすぐにその素顔を暴かれてしまう。そのため、芸人が1つのわかりやすいキャラクターを用意して、それを浸透させるというのが難しいのである。「一発」が大きく打ち上がる前に、別の角度ですぐに分析・解体されてしまうため、一発屋芸人が育ちにくくなっているのだ。

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