ブラジルに日本の“スピード系”FWは通用せず…それでもあった収穫は?

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本気を出したブラジル

 同様に左サイドの南野も、カットインしてもCBとボランチの3人がかりのマークに潰されていた。南野はサイドアタッカーというよりは、センター(ゼロトップ)かトップ下で生きる選手ではないだろうか。そろそろ彼をサイドで固定する起用法を再考すべきだろう。古橋も裏へ抜け出る動きは見せたが、ブラジルの屈強な2CBの素早い対応によりスピード勝負で負けていた。

 さらに日本の“ジョーカー”と言える三笘薫も、ファーストプレーでは相手をかわせても、2度目以降はCBから右SBにスライドしたエデル・ミリトンに特長を読まれ、抜きにかかった瞬間に身体をぶつけられて弾き飛ばされていた。さすがレアル・マドリードのレギュラーCBと感心するほどの対応力の速さである。

 これは結果論であるが、伊東や古橋ら“スピード系”が通用しないからこそ、上田という起用法もあったのではないだろうか。かつて横浜フリューゲルスや柏レイソルでプレーしたブラジル代表のセザール・サンパイオ分析コーチは、「とりわけ遠藤(航)はバランスが取れているし、南野は技術が高く、伊東はスピードがある」と評していた。そうした日本のストロングポイントをきっちり消しにきたあたりも、ブラジルのW杯にかける本気度が伝わってきた。

ブラジルを驚かせた長友

 課題の多い攻撃陣に比べ、DF陣は身体を張ったシュートストップと粘り強い守備でブラジルの波状攻撃を阻止した。15年11月17日のロシアW杯2次予選のカンボジア戦以来となる右SBで出場した長友は、粘り強い守備と果敢な攻撃参加で「健在」をアピールした。対峙したヴィニシウス・ジュニオールは、1週間前にCL決勝で優勝したため、どちらかというと“手抜き”のプレーが多く感じられた。爆発的なスピードは陰を潜め、63分にお役御免となった。

 それでも森保監督は、「佑都の右サイドの起用で、またオプションが1つ増えたと思う。対人の強さはヴィニシウスに対しても互角に戦っていた。世界のトップで活躍してきたので、世界で戦うところの重要な要素を持っている」と称えた。ブラジルのファビオ・フィジカルコーチも、「(長友は)35歳でも足が速い」と驚いていた。

 手術を終えた酒井宏樹がW杯に間に合うかどうか不明のため、現状で右SBは山根視来しかいない。しかし、長友は所属するFC東京では右サイドでもプレーしているため、ベテランとはいえ選手層が厚くなるのは歓迎したい。今回初招集の伊藤洋輝が左SBとCBでプレーできるため、彼がこのまま代表に定着すれば、DF陣の選手層が厚くなると同時に若返りも期待できる。

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