驚異的な勝率の女子ゴルフ・西郷真央 鳥肌モノのイーグルを振り返る
100人超のプレーヤーで“1勝”を争うプロゴルフトーナメントは、少なくとも確率的には数あるスポーツ競技の中で最もタフな競技の一つといえるだろう。
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そこで“10戦5勝”という驚異的な勝率を叩き出しているのが、女子ツアーの西郷真央(20)である。
受験資格が1学年引き下げられた2019年度のプロテストで最年少合格者となった西郷は、20~21年シーズンで賞金ランキング4位に入るも、優勝ゼロで2位が7回という成績にほぞをかんでいた。
ところが今季は、開幕戦の「ダイキンオーキッド」で初優勝を果たしたのを皮切りに、10戦5勝と破竹の快進撃を続けている。
とりわけ千葉県の袖ケ浦CC袖ケ浦Cで行われた「ブリヂストンレディスオープン」(優勝賞金1800万円)は圧巻だった。
年間最多勝記録に手が届く?
最終日、2位に1打差の首位でスタートした西郷は、スコアが伸びず、16番ロングホールを迎えた段階で3人に並ばれる。昨年は東京五輪で銀メダルを獲得し、賞金女王にも輝いた稲見萌寧(もね)(22)、今季メジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」で優勝した同い年の山下美夢有(みゆう)(20)、ツアー2勝の青木瀬令奈(せれな)(29)といった猛者たちである。
名物ホールである16番は左ドッグレッグ。折れ目に“御神木”と称される三本杉が聳(そび)える。勝負を挑むなら御神木越えのショートカットしかない。第1打、西郷そして同組の山下は共に御神木越えに成功。だが第2打、西郷はグリーン左、山下はグリーン右のバンカーに打ち込んでしまう。
両者を分かったのは第3打のバンカーショットだった。西郷が放ったショットはそのままカップイン。実は西郷、ツアー2位のサンドセーブ率64.7%を誇るバンカーショットの名手だった。これに動揺したのか、山下はこのホール、パーでしのぐのが精一杯。結局、この鳥肌モノのイーグルが西郷に5勝目をもたらした。
年間最多勝記録は03年に不動裕理がマークした10勝。今季は38戦あるため、記録更新の可能性に期待が高まっている。