岸田総理、就任後初のロングインタビュー 櫻井よしこが斬り込む「改憲」「核」「中国」

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 日本に迫る危機を訴えてきたジャーナリストの櫻井よしこ氏による本誌(「週刊新潮」)連載が、この度千回の節目を迎えた。記念すべき対談の相手は現職総理。就任後初のロングインタビューとなった日本のトップに、櫻井氏が舌鋒鋭く斬り込んだその一部始終をお届けする。

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櫻井よしこ 東奔西走お忙しい中、お時間をとってくださってありがとうございます。この連載を始めて20年が経ちました。これからも頑張って「政治家けしからん」と、矢を射る役割を果たしていきたいと思っています(笑)。今日はどうぞよろしくお願いします。

岸田文雄総理 こちらこそ、よろしくお願いします。記念すべき連載千回の節目に、お声がけいただきありがとうございます。

櫻井 世の中は予想外の変化が頻発していて、どんな組織であれトップに立つ人の心構えが問われています。これまで総理ご自身は穏やかなイメージをお持ちでしたが、それが今や「非常時の総理」になられた。

岸田 いや、穏やかかどうかは他人が評価することですが(笑)。私自身、こうした時代に内閣総理大臣を担うことに大きな責任を感じ、己の全てをかけて物事を判断し行動する必要があると、強い緊張感を持って日々過ごしているところです。

核大国の常任理事国が侵略するという事態

櫻井 ウクライナでいえば、もともと勇敢に祖国のために戦う国民の気概はあったと思いますが、ゼレンスキー大統領がいなければ、ここまでロシアに対して奮闘できなかったと思います。

岸田 そうですね。

櫻井 それを思えば、まさに日本は100年に1度の大きな変化に直面しています。総理の国家観、どんな指導者でありたいとお考えなのかが日本の命運を決すると思います。

岸田 もはやポスト冷戦といわれた時代が終わるということは、皆が感じていると思います。価値観の異なる国家間の対立がいよいよ顕著な時代、日本の立ち位置はどうあるべきか。私たちが戦後大事にしてきた自由と民主主義、人権や法の支配、さらには自由貿易といった価値観を堅持していく。そして、同じ価値観を持つ国や人々と連携して、どんな国際体制を作ることができるのか。日本が存在感を示せる外交を進めていく必要を感じています。

櫻井 核大国である国連の常任理事国が、核のない他国を侵略するという予想外の事態が起きた。その状況下で、総理はアジア諸国と欧州を歴訪されましたね。

岸田 インドネシア、ベトナム、タイと英国、イタリア、そしてバチカンですね。

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