老年医学の権威が明かす「脳の若返り」メソッド SNSの活用法と“高齢者ならでは”の勉強法とは?

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 いつまでも健康でいたければ勉強することだ。堅い話ではない。好きなことや得意なことに取り組めば意欲が増し、脳の若さが保たれ、意欲的だから多くのことに積極的になる、という好循環が生まれる。老年医学の第一人者が教える健康長寿のための勉強法とは。

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 現代日本のキーワードのひとつに「人生100年時代」があります。終戦後間もない1947年には、男性50.06歳、女性53.96歳だった平均寿命が、それぞれ81.64歳、87.74歳(2020年調べ)まで延びたことからも、実感をもって受け止められているのではないでしょうか。

 しかし、一方で健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳(19年調べ)です。平均寿命との間に男性で9年、女性で12年の開きがありますが、これは寝たきりになったり、だれかの介助が必要になったりする期間を指します。つまり、「人生100年時代」の実態は、必ずしも健康長寿に結びついていないのです。

 言うまでもありませんが、なにより大事なのは健康寿命を延ばすことです。では、そのためになにをすべきでしょうか。有効な手立てが適切な勉強です。

 もちろん70代、80代と年齢を重ねてからでも勉強はできます。自信をもってください。ただ、あえて「適切な」と言ったのにはわけがあり、高齢者にとっての勉強では、勉強の定義を変える必要があります。

実は側頭葉はそれほど衰えない

 かつて月刊「文藝春秋」で、『思考の整理学』で知られる外山滋比古先生と、定年後の勉強法をテーマに対談したときのこと。外山先生は開口一番「70代、80代が勉強なんてしてはいけない」と言ったのです。

 もちろん、高齢者は勉強しなくていいという意味ではありません。外山先生は、勉強の定義を変えるべきだ、と言っているのです。日本人は往々にして、勉強とは新しい知識を詰め込むことだと思っていますが、年を取ってからは、これまで蓄えてきた知識をアウトプットすることが大切だ、という訴えです。

 その当時、外山先生が実践されていたのは、週に3回ほど、それぞれ別のグループでディスカッションをし、言いたいことを言い合うという勉強法でした。

 脳の老化を予防し、脳を若返らせるために勉強する、という人が多いと思います。しかし、実は人間の脳、特に言語性知能をつかさどる側頭葉などは、年を取ってもそれほど衰えないことがわかっています。80年代に行われた少し古いものですが、東京都小金井市の住人への調査では、70代でも言語性知能は落ちていませんでした。

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