「KAZU1」引き上げで注目、売上高83億円「日本サルヴェージ株式会社」の正体

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飽和潜水は通常業

――今回は、一度失敗してしまったが。

「船体を固定していた5本のスリングベルトのうち、2本が切れ、再び落ちたということですが、これは私にも想像できませんでした。ただ、想像するに、海中は浮力が働くため、地上よりも軽くなる。そのせいで固定しているはずの船が動いてしまい、移送中に擦れて、切れたということだと思います。会社としても想定外だったのでは。ただ2回目はより強靭なベルトに変えたため、擦れても切れることなく、難なく引き揚げができたのでしょう。さすがです」

――沈没船のサルヴェージ作業は滅多にないのに、なぜこの会社は、飽和潜水の技術を維持できているのか。

「実はこの会社は、海難救助と同様に、海底での工事も行っているのです。売上が立派なのも、そのため。ちなみにどんな工事かというと、海底ケーブルの敷設や保守ですが、ケーブルを固定する海底の深水は、だいたい200メートルくらい。もちろん飽和潜水で行いますから、この会社のダイバーからすれば、今回のような作業は、決して難易度の高いものではなく、いわば“通常業務”の範囲なのです」

――海保が飽和潜水の技術を持っていないのはなぜか。

「単にコストが高いのです。滅多に起きない深刻な海難事故のためにコストを払って技術を維持するよりも、起きたときに日本サルヴェージに頼んだ方がいい、という判断なのでしょう」

 日本サルヴェージ本社に問い合わせると、

「事情のわかる者が全員、知床に行っておりまして、お答えできません」

 ひとまず、お仕事、お疲れ様でした。

デイリー新潮編集部

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