映画監督・松居大悟がもう一度会いたいと願うスターとは? 4年間毎年墓参りに
どこかに向けたラブレター
結果として伝わらなかったとしても、“自分が作りたかった”という理由を盾にして、痛くも痒くもない振りができる。でも伝わらなかったら、悔しくて仕方ないのだ。なんで伝わらないんだろう。それはもちろん「もう一度会いたい」なんて気持ちはエゴだから、それを見に来た人は知る由もないから。お金を払ってもらって楽しんでもらえるショウビジネスとしては正しい形ではない。見た人は僕が「もう一度会いたい」なんて思うこととは関係なしに、日々働いて稼いだお金を払って、映画を見る。大義名分なんてどうでもよくて、面白いのが一番だ。
いつだって作品を作る時は、どこかに向けたラブレターのようなものを孕んでいる。そういうしばしの別れを経て、日々の感情の積み重ねが愛おしく思えるように「ちょっと思い出しただけ」と呟くような映画を作った。恋愛映画という形だけれど、人生はいつも有限性があって、そんな精一杯の今を時には抱きしめられますように。
[2/2ページ]