橋幸夫が語る「78歳での大学入学」 歌手引退の真意と西郷輝彦との思い出

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 功成り名遂げた人物にも、必ず身を引く時は来る。そして、その「引き際」に人生観が浮かび上がるものだが、この方の場合はどうか。来年5月での「歌手引退」を発表した橋幸夫。その日まで1年を切った今、ご本人が引退の理由と「御三家」の秘話を語った。

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 スポーツ界を見たら、まだもう少しやれる、というところで身を引いている人が多いじゃないですか。友人でもありますが、相撲の元白鵬さんもそうですよね。全勝優勝した次の場所後に、惜しまれつつもスパッと引退したでしょ。そうした「引き際の美学」みたいなものが頭にあったんです。人に言われて仕方なく辞めるのではなく、自分で決める。そういうの、格好いいな、と思っていたんですよ。

〈そう語るのは、橋幸夫ご本人(79)である。橋は昨秋、80歳の誕生日をもって歌手活動から引退することを発表した。その日に当たる来年5月3日を前に、今はファイナルコンサートを全国160カ所で行っている最中である。

「潮来(いたこ)笠」「いつでも夢を」「霧氷(むひょう)」「子連れ狼」――数多くのヒット曲を生み出してきた橋の引退は、戦後歌謡史のひとつの区切りを意味するが、昨年の会見では、その理由を「声の衰え」と説明していた。〉

喉の調子がだんだん悪く

 喉の調子はですね、10年ほど前、70歳くらいの頃から、だんだんとおかしくなってきたんです。風邪を引いたわけじゃないのに、少し発声をしていないだけで声が変調するということがあったんですね。

 そして、2年前から新型コロナの感染拡大が始まりました。仕事が全部延期になり、歌を歌うことが減ってきてから、余計に声の調子が悪くなりました。お医者さんによれば、声帯の筋肉が老化しています、と。状態を維持する方法も教わって、それをやってはいるんですが、なかなか……。年を取ったら声がかれてくるというのは、これはもう仕方がないことですよね。

 実際、ファンの方からも指摘を受けることが増えてきたんです。「大丈夫ですか?」と心配のお手紙をいただいたりして。ファンクラブの方は何百回も私の公演を見に来てくださっている。だから、小さな変化にも気が付くんですね。

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