入院中でも病室で猛特訓… 柔道日本一「斉藤 立」父のスパルタ教育の是非

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 柔道日本一を決める全日本選手権が行われ、斉藤立(たつる)(20)が初優勝した。1984年ロサンゼルス、88年ソウル五輪の男子95キロ超級を連覇した故・斉藤仁氏の次男。親子2代で全日本制覇は史上初の快挙だ。

「顔や体格のみならず、しっかり組んで投げるスタイル、構え、歩き方、どれもお父さんそっくりです」

 とスポーツ紙柔道記者。

「そして、彼がこれだけ強くなれたのも、ひとえにお父さんのスパルタ教育があってこそでしょう」

 斯界で仁氏の熱血指導を知らぬ者はいない。

 2008年北京五輪男子100キロ超級金メダリストの石井慧が、「オリンピックのプレッシャーなんて、斉藤先生のプレッシャーに比べたら、へのツッパリにもなりません」と述べたのは有名な話だ。

入院中も病室で“打ち込み”

 赤の他人にかようなスパルタぶり。これが実の息子なら厳しさは苛烈を極める。

「立が柔道を始めたのは小学1年生。稽古は道場にとどまらず、家でも2、3時間、ときには泣きながら打ち込み(相手を投げる動作を繰り返し練習すること)をやらされたのだとか。仁さんが入院中は病室で打ち込みをしていたそうです。“父は怖い存在”と本気でおびえていました」

 全日本柔道連盟は3月、「行きすぎた勝利至上主義が散見される」として、小学生の個人戦全国大会の廃止を決めた。これに室伏広治スポーツ庁長官が同調し、スポーツ少年団も全国大会中止を検討し始めている。

 成長途上の子供たちに対する過度な体重制限は避けるべきだが、はたしてどこまでが“行きすぎ”なのか。線引きは難しい。それが親子間ならさらに難しい。

 柔道界では他にも、バルセロナ五輪男子95キロ超級銀の小川直也や、同71キロ級金の故・古賀稔彦の息子たちが活躍を期待されている。

週刊新潮 2022年5月19日号掲載

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