若手投手が次々台頭…他球団が驚く「巨人のドラフト戦略」と桑田真澄のコーチ術

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桑田コーチの“覚悟”

 そして、もうひとつ理由は、現場の体制ではないだろうか。巨人の球団関係者は、昨年から就任した桑田真澄コーチの存在を挙げている。

「やっぱり桑田さんがコーチになったことが大きいですよね。去年は1年目で宮本(和知)さんが上にいたので、少し様子を見ながら……という感じでしたけど、今年はチーフになって、原(辰徳)監督からも全面的に投手陣を任せられているので、思い切った抜擢がしやすくなったと思います。選手との対話を凄く重視していて、押し付けているような感じもしない。桑田さんは実績があるだけでなく、いろんな事を勉強してきて論理的に話をするので、選手も納得感があるのではないでしょうか。また、選手だけではなく、他のスタッフとも上手く連携していると聞きます。原監督も去年、コーチングスタッフが決まった後に桑田さんを招聘したというのは、それだけの危機感があったでしょうし、桑田さん自身も、それをくみ取って投手陣を変えようとしています」(巨人球団関係者)

 今年から投手チーフコーチになったこともあって、試合中にマウンドに行く姿も多く見られ、またベンチに戻ってきた投手と長く話し込むことも珍しくない。いくら好素材の若手とはいえ、実績がない投手をこれだけ起用しているというのも、桑田コーチの“覚悟”が感じられる。

 一方で、現在のチーム防御率は、リーグ5位と決して褒められた数字ではなく、特に与四球は12球団でワーストだ。未完成な投手を多く起用しているがゆえの“弊害”が出ていることも事実である。原監督、桑田コーチが今後、V奪還に向けて、どのような投手起用をしていくのか、今シーズンの巨人を占ううえで、非常に重要な注目ポイントとなる。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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