オウム元幹部・平田信が出所 交流を続ける遺族が語る「信じられる人だと思う」

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所持金800万円

 こうしてサリン事件以来、27年振りに日の当たる場に出ることとなった平田。しかし、償いの道はまだ続く。仮谷さん遺族との間に1千万円の賠償の誓約を結んでいるのだ。

「出頭した際、平田と最後まで一緒に暮らしていた元女性信者とで、合計で800万円を所持していたそうです」

 と仮谷さんが続ける。

「それを全額渡すと言ってきた。ただ、こちらとしては逃亡資金としてオウムが渡した金が入っているかどうかが気になり、半分の400万円を受取ることにしました。平田は残り400万円については、オウム被害者支援機構に寄付したようです。従って、現在は我々遺族に対し、600万円の支払い義務が残っていることになります」

 その残債は、出所の後、月に5万円ずつ、10年間かけて支払うことが誓約されているという。

「私としてはお金が目的ではないんです。この約束は、事件に関わったことを決して忘れないでくれ、という意味があるんです。ですから少額でもいいから払い続けてほしい。実は松本や、父の事件の別の実行犯との間にも、毎月2万~3万円ずつ支払うという誓約を結んでいた。しかし、両者とも生活が苦しいから、と数年以内に支払いが止まってしまった。平田の場合はどうなるのか……。信じるしかないし、信じられる人だと思っていますよ」

 贖罪の道は果てしなく長い。彼は、それを最後まで全うできるか。

週刊新潮 2022年5月19日号掲載

ワイド特集「我々はどこから来て、どこへ行くのか」より

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