新幹線“無賃乗車”で逮捕された元民主党国会議員 かつての支援組織が激怒する理由

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 新幹線のグリーン券を詐取したとして元議員センセイが逮捕されたニュースは、失笑と落魄の哀れを誘った一方で、思わぬ団体から「裏切られた!」と怒りの声も上がっていて……。

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 5月8日、愛知県警に新幹線のグリーン席チケットを騙し取った詐欺や有印私文書偽造・同行使の容疑で逮捕された元国会議員の山下八州夫容疑者(79)。山下氏は2010年に参院選で落選するまで、衆院議員を4期、参院議員を2期務め、逮捕時は立憲民主党岐阜県連の常任顧問に就いていた。

「山下容疑者は4月27日、JR東京駅の駅員に偽造した国会議員用の申込書を提出して、東京-名古屋間の新幹線特急券・グリーン券2枚を詐取。この際、同じ岐阜選出の自民党参院議員の名前を書いて、JRを無料で利用できる『鉄道乗車証』を手に入れたとされます」(愛知県警詰め記者)

 取り調べに対して、山下氏は「無賃乗車というのは分かっていた。悪いことをしていると思いながらやってしまった」と容疑を認め、「昔の経験が忘れられなかった」と“動機”を供述。また「過去にもやった」とも話しており、県警は余罪を含め捜査中だ。

 事件を受け、立民の泉健太代表は9日、「事実ならば決して許される行為ではありません。皆様に深くお詫び申し上げます」と謝罪。同日に山下氏の常任顧問職を解任し、除籍処分も発表した。

「政界渡り鳥」の評

 山下氏と親交のあった岐阜の政界関係者の話。

「山下さんの初当選は旧社会党から出馬した83年でした。地盤は岐阜5区に当たる中津川。県内では伝統的に左派系労組の強い地域になります。落選中の山下さんに県連顧問就任の声が掛かったのは、立民側の人材難が理由と聞いています。他にベテランで打診できるような人がいなかったと。大層な肩書きを持ってはいましたが、ここ数年、山下さんが地元で政治の表舞台に立つことはありませんでした」

 96年の衆院選では無所属で出馬し、自民党の古屋圭司・憲法改正実現本部長らに敗れ落選。2年後の参院選で民主党公認で立候補し、再選を果たした。

「物腰は柔らかく、おっとりした性格のため、彼の人柄を悪くいう人はいません。けれど、政治家として見た時、“思想がない”とよく言われ、実際、渡り鳥のように党を変遷しました」(同)

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