ヤクルトのエースに憧れ、海を越えたパラグアイの日系二世…独立リーグ・高知が描く“未来図”

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「プロアマ」の壁

 ただ、野球の場合、現状ではプロ選手が高校生の指導を行えないという、いわゆる「プロアマ」の壁が、今も存在している。プロ野球の長い歴史の中で、選手獲得に伴う金銭の問題など、かつての“負の歴史”が払しょくし切れていない部分が、いまだに残っているからだ。

 高知球団も、小・中学生の指導を行う「野球スクール」は稼働している。これに加えて、例えば現時点で高知球団が「アカデミー」を作り、そこで高校生の指導を行うとしよう。

 この場合、高校生が独立リーグという“プロの傘下組織”に加わることになり、現行の日本学生野球憲章に照らせば、恐らく「プロ扱い」と見なされる。だから「アカデミーチーム」の高校生で結成するクラブチームは、日本高校野球連盟に加盟する高校との練習試合を、今のままでは組めないことになる。

 こうした現行のルールが近い将来、大きく変わってくる、いや、変わらざるを得ないような、スポーツ界の“地殻変動”が起こる予兆を、北古味は感じている。

「これから、学校の部活動を地域に移行しましょうという話じゃないですか。地域スポーツ、クラブチーム化していくことになる。そうすると(アカデミーと教育の)このアイディアが成立してくるんですよね」

国も地域も動き出している

 この「部活動の地域への移行」とは、休日にも部活動の指導を教員の負担軽減に加え、少子高齢化に伴い、学校単位での部活動の維持が困難になりつつある地域が出ているという、教育現場の現状も踏まえたもので、スポーツ庁ですでに本格検討に入っている。

 2023年度からの3年間は「改革集中期間」と位置付けられ、公立の中学校では2025年度末までに休日の部活動の地域移行を実現させるべく、国も地域も動き出している。

 近い将来、これが高校レベルにも波及してくることになってくるのは間違いない。その時に、地域のプロスポーツが「育成機能」を充実させ、高校生にもその門戸を開く時が来るだろう。

 その時、日本学生野球憲章などの現行ルールに、想定されていない状況が来れば、そうした規定は、時代に合わせて変化をせざるを得ないのだ。

 しかも、高知球団社長・武政重和は、サッカーのJFL・高知ユナイテッドSCの社長も務めている。高知ユナイテッドSCには、すでにU-13、U-14、U-15のジュニアユースチームもあり、育成のための「アカデミー」の素地はすでに備えている。

「市場が大きくて、活動されている母体や人数が、例えばサッカーで何万人、野球で何万人といるのであれば、それぞれで1つのコミュニティというか、サッカーのコミュニティ、野球のコミュニティで成り立つような世界があると思うんです。でも海外だったら、たった人口1万人くらいの街でも、自分たちのところのサッカークラブがあって、1部リーグに行けなくて、3部や4部だとしても、そこをみんなで応援しようという文化がある。今のところ、日本全体ではそんなにないと思うんですけど、そこに気づいている途中といえば、そうだなとも思いますね」

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