「在日本朝鮮人連盟」と一体化していた日本共産党 活動資金、人的ネットワークをカバー

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急速に輪を拡大した共産党

 張らは朝連のネットワークをフル活用して共産党員を勧誘し組織を作っていく。

「このとき日本共産党は朝連と手を握らなければ立ち上がれなかった。資金がないし、一〇月一〇日まではみんな放りこまれていて人数的にも少ないし、一〇月一〇日以後でもほとんど四五年いっぱいは、しっかりとした足場がつくれなかった。だから、わたしも朝鮮に派遣されるまでの間、できるかぎり、何かひっかかりがあれば、それをつたって連絡をつけていった。朝鮮人だけでなく日本人でも、何か少しでもつながりがあるところには片っ端から訪ねていった」(同前)

 国力のすべてを懸けて総力戦を戦った日本は、家庭から鍋釜まで供出させ、なけなしの金を戦争で使い果たし、敗戦後は惨憺たる経済状況にあった。戦時中から共産革命に賛同するものもいるにはいたが、表立って旗を振る人はなく、革命家は特高を恐れて地下に潜った。それが突然、世に出ても、厳しい戦後経済の中で多額の政治資金を集めるのは難しかっただろう。日本共産党幹部が、自己資金で組織政党を作るのは不可能だった。

 もっとも時勢は共産党にとって追い風であった。戦後、反動から共産主義に傾倒するものも多く、戦時中弾圧された日本共産党への同情と、潜在的共産主義者が、共産党幹部の出獄とともに動きだし、急速に輪は広がった。しかし、ここまで見てきたように、その底流には、朝鮮民族の封建的な上意下達のコミュニケーション力と、有無を言わさぬ赤誠の集金力があった。在日本朝鮮人連盟には潤沢な資金があり、戦後の日本共産党は、この爆発する在日本朝鮮人連盟のエネルギーのマグマと潤沢な財源を利用して再建を果たしていくのである。

(敬称略)

近現代史検証研究会 東郷一馬

週刊新潮 2022年4月7日号掲載

短期集中連載「党史には出てこない不都合な真実 『共産党』再建資金に『朝鮮人徴用工』の未払い賃金」より

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