佐々木朗希に怒った白井球審だけではない…試合中にブチ切れた審判はこんなにいた

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「こら、きさん、何をしよるか!」

 4月24日のオリックス対ロッテで、外角直球のボール判定に苦笑いを見せたロッテ・佐々木朗希に対し、白井一行球審が険しい表情でマウンドに詰め寄り、怒鳴りつけるシーンが話題を集めた。どんなときでも沈着冷静な対応を求められる審判が、自ら試合を中断して、ブチ切れたようにマウンドに向かった行動に対し、関係者やファンの間で「わざわざ試合を止めてまで注意することではない」「おとなげない」などの声も出た。だが、今回の白井球審に限らず、過去にも審判が試合中にブチ切れるシーンが何度となくあった。【久保田龍雄/ライター】

 ボールに八つ当たりをした選手を、声を荒げて叱り飛ばしたのが、パ・リーグの名物審判としてテレビの珍プレー特集にもたびたび登場した村田康一審判である。1989年7月19日のダイエー対近鉄、5回1死、ダイエーの一塁走者・山本和範が二盗を成功させた直後、捕手・山下和彦の送球が腹部を直撃した。

 激痛に悶えた山本は、次の瞬間、腹立ち紛れにボールを掴むと、「こん畜生!」とばかりに地面に叩きつけた。すると、間近で一部始終を見ていた村田二塁塁審が「こら、きさん、何をしよるか!」と博多弁で一喝しながら、左手で山本の胸を突いた。「審判を愚弄する行為だ!」と怒りを爆発させたのだ。

 山本も福岡県出身とあって、同郷の大先輩には頭が上がらない。しかも、自分に非があることは明らかなので、終始「オレは村田だ!」のド迫力に圧倒されっぱなしだった。村田審判は、球審を務めた87年6月28日の南海vs近鉄でも、見逃し三振をジャッジされた南海・デビッドが面当てに本塁ベースに土をかけて立ち去ったことにブチ切れ、攻守交代で目の前を通った南海・藤原満コーチに「お前がやれ」と、ベースを掃除する刷毛を手渡すシーンもあった。藤原コーチが自軍の助っ人による行為を詫びながら、本塁ベースを掃き清めたのは言うまでもない。

「建て前じゃ言ってはいけないが……」

 球審が監督に暴言を吐き、責任審判が「今のは取り消します」と訂正する珍事が起きたのが、95年7月16日の日本ハムvs西武である。1点を追う日本ハムは4回2死一、二塁、広瀬哲朗の右前安打で二塁走者・鈴木慶裕が本塁をついたが、ライト・ジャクソンの好返球でクロスプレーとなった。

 山本隆造球審が「アウト!」をコールすると、セーフを確信していた日本ハム・上田利治監督がベンチを飛び出し、激しく抗議したが、判定は覆らない。納得のいかない上田監督は一塁ベンチへの帰り際、橘修一塁塁審に「(山本球審の)立つ位置が悪い。君の位置からは(セーフに)見えたのでは?」と尋ねた。そこへ山本球審が歩み寄り、何を言ったかは不明だが、上田監督に感情的な暴言を吐いた。

「アンパイアにあるまじき発言」と激怒した上田監督は、山本球審と約3分にわたって口論を繰り広げたが、責任審判の五十嵐洋一二塁塁審が「今の(山本球審の)言葉を取り消します」ととりなし、ようやく事態を収拾した。

 試合後、五十嵐審判は「建前じゃ言ってはいけないが、人間だから言ってしまうことがある。山本は、今日は人間になった」と説明した。

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