佐々木朗希に怒った白井球審だけではない…試合中にブチ切れた審判はこんなにいた

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あわや刑事告訴のトラブルに

 一方、上田監督は「偉そうなことを言ってきたから、退場になってもいいから、どついたろうと思った。謙虚さがないから、うまくならない」となかなか怒りが収まらなかった。

 因縁の両者は、4年後の99年5月23日の近鉄戦でも火花を散らす。併殺打の判定をめぐって、激高した上田監督が一塁塁審の山本審判に暴力を振るい、あわや刑事告訴のトラブルに発展している。

 大洋時代の近藤貞雄監督と一度ならず口角泡を飛ばす怒鳴り合いを演じ、“犬猿の仲”をアピールしたのが、柏木敏夫審判である。86年5月9日の中日戦、9回無死一塁、大洋のリリーフエース・斉藤明夫が代打・内田強に対し、2球目のモーションに入った直後、中日・高木守道三塁コーチがタイムをかけたので、柏木三塁塁審はこれを認め、谷博球審に伝達した。

 ところが、突然の事態に谷球審の対応が遅れ、斉藤が投球してしまう。そして、「タイム中の投球」として無効になったことから、近藤監督が色をなしてベンチを飛び出した。柏木塁審目がけて突進した近藤監督は「セットに入ったときに、タイムをかけるのは、やむを得ない場合以外は認められないはず」と猛抗議したが、柏木塁審も「セットに入っていてもタイムはかけられる」と一歩も譲らない。

怒鳴り合いはファンサービス?

 近藤監督はなおも「投球モーションに入ってからの不用意なタイムを認めて、斉藤が故障でもしたらどうするんだ」と激しく迫り、柏木塁審が納得のいく説明ができないとみるや、「このヘタクソ!」と罵倒した。

 すると、柏木塁審は「バカ呼ばわりした」という理由で退場を宣告した。60歳9ヵ月での退場は、当時史上最年長だった。だが、試合後、「僕は“このヘタクソ!”とは言ったが、“バカヤロー!”とは言っていない」と反論する近藤監督に、柏木塁審が「だったら、ヘタクソと言ったから退場」と訂正したことから、「退場なら退場で結構。しかし、理由をやたら変えるのは(おかしい)」とツッコまれるなど、両者の言い分は最後まで平行線だった。

 しかし、2人は、実際に仲が悪かったわけではなく、怒鳴り合いは、ファンサービスを兼ねたパフォーマンスだったといわれる。

 審判も人間。時にはブチ切れることもあるだろうが、そんな場面では、怒りのピークが過ぎるのを待ってから、気持ちを切り替えて行動してみては、いかがだろうか?

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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