佐々木朗希をどう育てるべきか? 「メジャー球団がよだれ」でも代理人が指摘する不安材料

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 ロッテの佐々木朗希投手が10日のオリックス戦での完全試合に続き、17日の日本ハム戦でも8回までパーフェクトの快投を演じた。井口資仁監督が102球という球数を考慮し、この回限りでの降板を命じたため2試合連続の快挙とはならなかったものの、「17イニング連続無安打」の球界新記録を樹立している。2007年の日本シリーズでは、佐々木と同じく8回まで相手チームを完全に封じた中日の山井大介投手に対し、落合博満監督が交代を告げて大いに物議を醸した。だが、今回は「交代やむなし」の論調が支配的。メジャーの関心も高まるなか、日本球界は「令和の怪物」をどう育てていくべきなのか――。【津浦集/スポーツライター】

 若手のロッテ番記者が、佐々木が交代を告げられた直後のZOZOマリンスタジアムの様子を振り返る。

「“なぜ代えるんだ!”とモノが投げ入れられることもなく、ブーイングさえ聞こえませんでした。ファンは至って冷静に受け止めているようでしたね」

 場内が騒然とし、翌日のスポーツ紙に〈オレ流 非情采配〉という文字が躍った落合監督時代とは対照的だった。

唯一無二の才能を守る

 佐々木が岩手・大船渡高3年生だった2019年夏。甲子園出場が懸かった最後の県大会の決勝で國保陽平監督が連投となるため登板を回避させた。「英断」との声もあったが、「佐々木一人のための高校野球ではない」などと賛否両論が巻き起こった。

 その論争はしかし、3年の時を経てケリがついている。

「高校時代にあれだけの球数を投げてプロ1年目から活躍した松坂大輔投手は別として、甲子園での熱投で鮮烈な印象を残した安楽智大投手(楽天)や吉田輝星投手(日本ハム)はプロで苦しんでいます。若年期の投げすぎが素質の開花を阻むことはプロアマの指導者、ファンにも共有されつつありましたが、今回の佐々木の完全試合達成によって、やはり國保監督の判断は正しかった、と。いまはこの唯一無二の才能を、球界をあげて守っていかなければならないと考えるようになった」(高校野球キャップ)

 元阪神投手の藤川球児氏も〈佐々木投手の交代に一安心〉とツイッターに書き込み、野球評論家たちも相次いで「井口采配」への支持を表明している。

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