やっぱり神ってる「鈴木誠也」、メジャーでいきなり大爆発した2つの理由

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平均球速が10キロも速い

 松井秀喜は巨人時代のような放物線を描けなくなった。松井稼頭央は天然芝に変わったことで守備がネックになった。いずれも日本では第一人者だった分野で、鼻を折られた。しかし、

「鈴木は中距離ヒッターで、必ずしもホームランを期待されているわけでありません。安打でもOK。長打か巧打か、メジャーで新たに自分のプレースタイルを確立すればいいとばかりに、伸び伸びプレーしているように見えます」(大リーグ解説者)

 日本の打者がメジャーで苦しむのは手元で動く球と言われてきた。だが、日本でもカットボールやツーシームを投げる投手が珍しくなくなった今、平均球速が10キロも速いとされる直球をいかに攻略するかがポイントとなる。

「日本で本塁打王だった筒香も速球に手こずり、昨季後半にようやく復調の兆しを見せました。速球派が少なくないパ・リーグ出身なら慣れがあるかもしれませんが、鈴木も筒香と同じ変化球投手が多いセ・リーグ出身。やはり鈴木の活躍ぶりには目を見張るものがあります」(大手紙デスク)

お手本のようなバッティング

 今年のオープン戦、鈴木は17打数4安打の打率2割3分5厘と低調だった。途中、大谷を模倣したノーステップ打法をテストするなど、タイミングを取ることに躍起になっていた。元プロのアマ野球指導者は急速に適応した背景をこう分析する。

「全く癖がなく、右打者のお手本のような打撃で、私も選手を指導するときに見習うように伝えているほどです。慣れてタイミングさえ合えば、大リーグのスピードボールにも苦労しないと思っていました」

 さらにNPB監督経験者が続ける。

「メジャーの投手はどんどん勝負してくるため、警戒されてなかなかストライクゾーンに球がこなかった日本時代のジレンマから解放されたように見えます。それにしても、あの短い調整期間で……。27歳という若さもあるのでしょうが、アジャストするスピードには驚かされます」

 実際、公式戦では対フォーシーム(日本の「ストレート」)の打率は5割を超え、本塁打も4本塁打中3本を速球が占める。この速球への対応力こそが、鈴木の活躍を支えるふたつ目の鍵と言えるだろう。

後に続く日本人野手の試金石に

「カブスが所属するナ・リーグ中地区は、ヤンキースやレッドソックスなど強豪ぞろいのア・リーグ東地区に比べるとレベルが落ちます。それでも、人気球団カブスで100億円超の契約ですから、不振に陥ればバッシングが集中する。そうした重圧の中でこの数字はたいしたものです」(大リーグ解説者)

 現在のペースを維持すれば、大谷が18年にマークした日本人ルーキーの最多本塁打記録22本を優に超える。04年に松井秀喜が記録した日本人歴代2位の31本塁打、そして、大谷が昨季に打ち立てた歴代1位の46本塁打にどこまで迫るか、期待が高まる。

「鈴木が活躍すれば、これまで低評価だった日本人野手への見方は一変します。イチローや大谷は別格ですが、鈴木の活躍は村上宗隆(ヤクルト)岡本和真(巨人)ら後に続く可能性がある選手の試金石といえるでしょう」(大リーグ代理人)

津浦集(つうら・しゅう)
スポーツライター

デイリー新潮編集部

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