巨人 来日初登板したシューメーカーの評価は?【柴田勲のセブンアイズ】

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大崩れはしないタイプ

 もちろん、収穫もあった。9日に来日初登板したマット・シューメーカー投手だ。1回に先頭・塩見泰隆に初球を左翼席に運ばれたがこれで目が覚めたようだ。日本人でも油断するとやられる。

 以後は低めに丁寧に投げた。打たせて取る投球を心がけていた。真っすぐは最速で148キロ、カーブやスプリット、それにツーシームと変化球も多彩だ。テイクバックが小さくモーションが速い。

 大崩れはしないタイプと見た。6回2/3を投げて5安打2失点、五つの三振を奪った。球数は83、テンポよく投げた。デビュー戦としては合格点だろう。

 ただ、もったいなかったのは1点リードの6回に自らの一塁けん制悪送球が絡んで同点とされたシーンだ。エラーやミスは失点につながることが多い。大量点のケースもある。次回の登板が楽しみだ。

打線のカギは4番の岡本和

 赤星優志は10日、プロ初黒星を喫したが投球内容はよかった。本当によくストライクが先行する。アレッと思う間に打者を追い込んでいる。テンポがいい、コントロールもいい。7回を球数121、被安打5で2失点(自責1)だった。安定している。

 7回に2死から四球と安打で二、三塁のピンチを招いた。投手の高橋に粘られて9球目に小林誠司が捕逸して勝ち越された。

 あれは前で止めてもらいたかった。前述したようにシューメーカーもけん制悪送球で失点を呼んだ。チームが波に乗れない時はこんなプレーが顔を出す。

 チーム全体で気持ちを引き締めてほしい。

 巨人は12日から沖縄でDeNA2連戦、今季初対決だ。15日からは甲子園に乗り込んで阪神3連戦だ。

 阪神、相変わらず泥沼であえいでいる。前回、チームの立て直しは容易ではないと記した。一つ勝っても二つ負けるとも。実際、引き分けを挟んで3連敗、1勝12敗で借金は11だ。

 さてどんな試合展開となるのか。巨人は油断をすることなく勝負に徹してほしい。

 最後になるが今後打線のカギを握るのは4番の岡本和だ。主砲が打てばチームは間違いなく乗る。期待している。(成績は11日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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