カプセルトイ、なぜ今流行? 市場規模は年間450億円に急成長

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 妙なテレビCMが深夜に流れている。天ぷら屋で料理人がえびに衣をつけて油に投入。揚がったえび天にはあら不思議、厳めしい顔がついていて、それを頬張ろうとする男女にかわいい声でこう言うのである。

「天ぷらが妖怪になっちゃった~。『てんぷら妖怪』。食べられないけどね」

 少々面食らうが、要するに妖怪に擬した天ぷら形のフィギュアで、他にもなす、かぼちゃ、しいたけ、ししとうなどのモデルがある。1個400円の、世に言うカプセルトイ。一昔前の呼称“ガチャガチャ”には聞き覚えのある人も多いだろう。コインを入れてレバーを回すとマシンから出てくるカプセル入り玩具だ。

「たしかに過去、カプセルトイ単体のCMはなかったかもしれません。僕は普通のことが好きではない質(たち)で、地上波で一回CMを打ってみたかったんですよ」

 こう語るのは発売元である「クオリア」の小川勇矢代表。発売は昨年12月末で、CMは当初、昼間の子ども向けアニメの枠で放送。のちに深夜枠に進出し、6月まで見られるという。一体、宣伝費は回収できるの?

「1個400円で6万個製作していますから、完売しても売り上げ2400万円。宣伝費の元は取れないと思います。それでも営業トークのネタにできて、次の仕事に繋がればいいんです」

30代前後の女性に人気

 小川氏が6年前に起業した同社は社員7名で年商は約14億円とか。最大のヒット商品は起立したネコが両腕を広げて筆記用具を支える「ネコのペンおき」。発売1年半で累計200万個が売れたという。

「クオリアはガチャガチャ独自の楽しさを発信している会社で、面白がってCMを流すのも同社らしい」

 とは「日本ガチャガチャ協会」の小野尾勝彦会長。意外だが、こうしたカプセルトイは30代前後の女性たちに人気があるそうだ。

「てんぷら妖怪も女性が面白がって買っていると思います。数百円でクオリティの高い造形を楽しめるのがガチャガチャの売り。『ガチャガチャの森』など専門店も増え、女性が入りやすいのも支持されるゆえんですね。現在、メーカー約30社が競い合う市場の規模は、年間450億円以上へと急成長しています」

週刊新潮 2022年4月7日号掲載

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