ロシア軍が残虐行為を行う単純な理由 専門家が証言する「緩みきったロシア兵」の振る舞い

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 ウクライナにおけるロシア軍の残虐行為が次々に明るみになっている。例えば毎日新聞(電子版)は4月4日、「キーウ周辺で410人の遺体確認 ウクライナ検察」の記事を配信した。

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 同じ日にはAFP=時事も「ロシア軍が『ジェノサイド』ウクライナ大統領が非難」との記事を伝えている。

 2つの記事は、いずれもYAHOO!ニュースのトピックスに転載された。戦争犯罪の疑いが強いという、非常に重大なニュースであることは言うまでもない。国際社会はロシアを非難している。

 無辜のウクライナ国民に対する悪逆非道の行為。当然ながらTwitterでも憤りの声が投稿されている。その際、「軍律」に着目する人が少なくない。

《ロシア軍の司令官に兵士に軍律を守らせる力がないのだ》

《虐殺はロシア軍の軍律のなさの証左ともいえる》

《ロシア軍には軍律ってのがないんだろうな》

 軍事ジャーナリストの菊池征男氏は90年代に2回、ロシア軍の取材に成功した。その際、軍の内部で風紀が荒みきっているのを間近にしたという。

「軍律が緩んでいるというレベルの状況ではありませんでした。軍律が存在しないかのようなデタラメぶりで、あんな酷い軍隊は初めて見ました。例えば、ウラジオストクの原潜を取材した時のことです。当時はソ連崩壊の直後で、ロシア海軍は水兵に満足な給与を払っていませんでした。住居を提供することもできず、水兵は潜水艦で寝泊まりしていました。そして勤務中でも、真っ昼間からウオツカをあおり、酔っ払っていたのです」

トップが人命軽視

 ロシアはウクライナでの民間人虐殺をデマと否定しているが、その証拠を示す衛星写真の存在などが明らかになっている。

「第二次世界大戦末期、ソ連は日ソ不可侵条約を無視し、旧満州に侵攻しました。そこで行われた日本人に対する残虐行為は、今のウクライナで行われていることと全く同じです。多くの民間人が殺され、女性だけでなく男性も性的暴行を受け、ありとあらゆるところで略奪が行われました。現在のロシアによる『ウクライナで残虐行為は行っていない』との主張を、日本人が『ウソだ』と見抜くのも当然でしょう」(同・菊池氏氏)

 独ソ戦では、ドイツ軍がソ連の民間人に残虐行為を働いた。だが戦況が逆転すると、今度はソ連軍がドイツの人々に残虐行為で“復讐”するという地獄絵図が発生した。

 昔も今も、ロシア軍の本質は変わっていない。戦場で残虐行為を常に繰り返してきた。なぜなのだろうか。

「ロシアという国家には、人命軽視という悪しき伝統があります。例えば、ソ連の最高指導者だったヨシフ・スターリン(1878~1953)は政敵を弾圧する“大粛清”を行いました。その死者は800万人とも1000万人とも言われています。国のトップが、人命を完全に軽視しているわけです。これで末端の兵士に『人命を尊重せよ』と言っても無駄でしょう」(同・菊池氏)

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