セブン-イレブンも値上げ開始 268円「さばの塩焼」が298円になることの“重大な意味”

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100円ショップがなくなる日

 値上げをめぐる小売とメーカーの苦境については、こんな出来事が象徴的だったと渡辺氏は振り返る。

「大手スーパーの『OKストア』が、花王製品の取り扱いを止めたという今年2月のニュースには衝撃を受けました。原材料の高騰を受けた花王の値上げを、EDLP(エブリディ・ロー・プライス、セールを行わない代わりに安売りを行う販売戦略)を掲げるOKが“良し”としなかったわけです。それが良いかどうかは別として、いまの日本の流通業界ではメーカーよりも商品を置く小売が圧倒的に強い。その小売の意向を蹴ってまで花王は値上げを敢行せざるえなかった。これは流通業界ではひとつの事件で、それほど花王は苦しかったわけです(※OKは販売再開も検討としている)。花王はまだNB商品だったのでメーカーにイニシアチブがあったわけですが、今回はPBまでもが値上げになったわけです」

 こうした流れが、今後、われわれの生活にどんな影響を及ぼすのだろうか。

「ひとつには、単純に安くてお得な商品が手に入りにくくなりますよね。2月に日経新聞が報じたところによれば、キューピーや味の素のマヨネーズが値上げしたのを受け、PBマヨネーズの売り上げが前年比で4割も伸びたということです。いわばPBが消費者の“セーフティーネット”だったわけですが、値上げによってこれが叶わなくなると、最悪マヨネーズを使わないようにしようなど、いま以上の悪影響を家庭に及ぼすことが考えられます。また、PBが値上げせざるを得なくなることを見ると、今後、100円ショップがどうなるかがわかりません。というのも、100円ショップで取り扱う商品は、100円ショップが企画しメーカーに製造してもらう、ある意味ではPBなんです。これも値上げの波によって“100円”を維持できなくなれば、100円ショップがなくなる日がやってくるかもしれません」

「さばの塩焼」の値上げは、こんな未来を暗示しているのだ――。

デイリー新潮編集部

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