46歳「小学校教諭」が10年前の教え子への性的暴行で逮捕 5年前のわいせつ事案で“大甘処分”を下していた都教委の“責任転嫁”

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停職明けに別の区で復職

 実はこの男を、もっと早く教壇から引きずり下ろすチャンスはあった。2017年に勤務していた板橋区内の小学校でも教え子へのわいせつ事案が問題化し、区や都の教育委員会の調査が入っていたのである。TBSの報道によれば、当時、校内では、ハグするように後ろから教え子に抱きつく河嶌容疑者の姿がたびたび目撃されていたという。

 だが、その時、都教委が下した判断は「停職3カ月」だった。学校関係者が解説する。

「わいせつ事案において停職処分は、すなわち“セーフ”です。触った、抱きついたなどの被害の訴えで、教師側が『そんなつもりではなかった』と否認した場合、判定が難しくなる。結果、グレーな判断として、懲戒免職にならずに逃げきれてしまうケースが多々あるのです。あの時、警察を介入させておけば、もっと早く被害が把握でき、さらなる被害を防げた可能性がある」

 江東区教育委員会によれば、板橋区の件での停職が開けた翌年の2018年から江東区内の小学校で勤務を再開したという。

「都教委の人事に対しては、私たちは受け入れるだけの立場です。もちろん停職処分の内容は把握しておりましたので、本人に対して二度とこのようなことがないよう確認してから配属させています。一連の逮捕事案については重く受け止めており、都に対しては厳正な対処を求めていくつもりです」(江東区教育委員会指導室長)

わいせつ教員対策法が施行

 5年前の判断に問題はなかったのだろうか。都教委の人事部職員課に話を聞いたが、「個人情報に関わるので、懲戒免職以外の処分内容については公表していない」「捜査段階にあるのでコメントできない」などと繰り返すばかり。一般論としては、次のように回答した。

「わいせつ事案の事実認定は、服務監督権を持っている地区の教育委員会が行うものです。都教委は、それに基づいた上で処分を下している。発出済みの処分が適切だったかどうかの判断はこちらではしかねます」

 板橋区教委に責任転嫁しているかのようにも聞こえる言い方である。

 4月から施行された「わいせつ教員対策法(教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律)」には、《犯罪の疑いがあると思われるときは、速やかに、所轄警察署に通報する》との文言も盛り込まれた。だが、法ができたからと言って、今後このような事案が防げるわけではない。勇気を出して被害を訴える子供たちの側に立ち、教育現場に潜み続ける卑劣なわいせつ教員たちを排除していく強い姿勢が教育行政に求められている。

デイリー新潮編集部

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