ビックボスから開幕投手に指名された北山亘大のアマチュア時代 甲子園では無念のサヨナラ負け

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大学時代の活躍

 夏の甲子園終了後、プロ志望届を提出するも、17年度のドラフト会議では指名漏れとなった。プロに行くにはまだ力不足だと感じ、大学へ進むことに。進学先は関西六大学野球連盟に加盟する京都産業大学。平野佳寿(現・オリックス)らを育てた勝村法彦監督の指導のもと、1年生の春から早くもベンチ入りを果たすと、1試合に登板。2回1/3を投げて被安打1、1奪三振で自責点0と上々のデビューを飾っている。続く秋のリーグ戦では13戦中、9試合でリリーフ登板し、18回2/3を投げて被安打8、25奪三振、自責点わずか2の防御率0.96の好成績をマークすることに。

 先発陣の一角に食い込んだのは、翌年春のリーグ戦だった。2年生ながら5試合に登板。31回2/3を投げ、被安打25、33奪三振、自責点9で防御率はリーグ7位の2.56を記録。勝ち星も3勝(1敗)と活躍し、新人賞にあたる平古場賞を獲得したのだった。

 4年春のリーグ戦からは主将に就任し、チームを牽引。なかでも対大阪学院大1回戦と対大阪経済大1回戦で2試合連続完封を達成している。さらに対神戸学院大1回戦では15奪三振をマークするなど、7試合に登板して自己最多の4勝(3敗)、69奪三振、防御率1.52(リーグ7位)の好成績で最優秀投手賞を獲得したのだった。4年秋のリーグ戦では自己最速となる153キロを叩き出している。全7季(1シーズンはコロナ禍で開催中止)で43試合(先発30試合)に登板し、247回を投げ、被安打168、235奪三振で14勝(うち10完投・4完封)13敗、防御率2.00という成績を残している。

 大学4年間で成長した北山は、プロ注目の右腕となっていた。「真っすぐは十分、力がある」(阪神スカウト)や「速さに頼るタイプではなく、球質がよくてキレで抑えるタイプ」(読売スカウト)との評価を受け、ドラフト会議前最後の登板となった試合では6球団が視察に訪れたほどだった(しかも読売は最多の5人態勢だった)。実際に指名した北海道日本ハムのスカウトの1人は「全身をしなやかに使って投げ込む150超の伸びのあるストレートが最大の武器。カーブなどの変化球の精度を高め、投球の幅が広がった。直球、変化球ともキレがあり、三振を奪えることが強み。即戦力の期待がかかる本格派右腕」と高く評価していた。実際、春季キャンプでは2軍スタートも、オープン戦で大学時代の最高球速を上回る156キロを計測するなど、5試合計6回を投げて13奪三振の無失点ピッチングを披露した。力強いストレートを前面に押し出し、開幕1軍入りかつ栄誉ある開幕投手の座を勝ち取ったわけだ。結果はピンチを招きながらも2回無失点で切り抜け、降板。当初の予定通り、オープナーとしての役割を果たしたのだった。

 質のいい直球を武器にする北山はオープン戦当時、守護神候補でもあった。今後もオープナーの役回りなのか、それとも抑えに回るのか。はたまた勝ちパターン時の中継ぎか。どのポジションで起用されてもファンの期待に応えてくれるに違いない。

上杉純也

デイリー新潮編集部

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